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ホンダ、新型HVでトヨタに挑む 「軽」の勢い、登録車につなぐ

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ホンダ、新型HVでトヨタに挑む 「軽」の勢い、登録車につなぐ

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1-6月の国内新車販売シェア  今年上期(1~6月)の国内新車販売シェアで2位の座を維持したホンダが、満を持して小型車「フィット」やセダン「アコード」などのハイブリッド車(HV)を投入する。

 新型車の投入をてこに、軽自動車で続けている快進撃の勢いを登録車につなげる戦略を描いている。しかし、軽の好調も自社の登録車のユーザーを軽自動車に振り向けるなど、登録車部門の犠牲に支えられた側面もあるだけに、今後、どれだけ多くの新規顧客を獲得できるかは未知数だ。新型HVでトヨタ自動車の牙城を切り崩せるかが戦略の成否を分けることになる。

 「新客獲得は未知数」

 「ホンダに軽で躍進を許したものの、うちの顧客数は落ちずに増えた。エコカー補助金の影響による純増もあるだろうが、大半は自社の登録車の顧客が軽自動車に流れただけではないか」。ライバルの軽自動車大手の幹部は、ホンダの販売戦略をこう分析する。

 事実、軽重視の戦略にかじを切ったホンダの上期販売は軽自動車が前年同期比31.3%増の21万2240台と大幅に増加し軽自動車が販売全体に占める割合は57.7%にまで達したものの、登録車は42.1%減の15万5827台と大幅に減少した。

 ホンダは下期(7~12月)、軽自動車の好調な販売を維持しつつ、相次いで投入する登録車の販売を拡大させるという戦略を立てており、年間では、軽と登録車の販売比率は5割ずつになるとみている。峯川尚専務執行役員は「下期は、登録車の販売が寄与し、上期比で2~3割伸びる」との青写真を描く。

 ただ、系列販売店からは「思惑通りにはいかない」と懸念の声も上がる。都内のホンダの販売店担当者は「9月に新型フィットが出たら、今度は、軽の客を奪う形になるのではないか。売り上げがそのままかさ上げされるのか心配だ」(販売店担当者)と、不安を隠せない。

 また、小型車では、自動車税が優遇される軽自動車との差別化に苦しんでいる。トヨタの「ヴィッツ」や日産自動車の「マーチ」、三菱自動車の「ミラージュ」などは軒並み、販売が低迷している。こうした中でのホンダの新型フィットの投入も「どこまで売れるか見物だ」(国内大手自動車幹部)と冷ややかに受けとめられている。

 誰もが認める開発力

 とはいえ、ホンダの新車に対する開発能力は誰しもが認めるところだ。

 特に、6月末に発売した新型セダンのアコードは、HVだけの展開で、ガソリン1リットル当たりの燃費性能は30キロを達成。ライバルのトヨタ「カムリ」の燃費性能を一気に約3割も上回った。

 フィットもガソリン1リットル当たり36キロ超と、トヨタのHV「アクア」を上回る世界一の燃費性能を達成している。「プリウスを含めたトヨタのHVの牙城を崩し、プリウスユーザーを取り込める可能性がある」と指摘する声も出ている。

 ホンダは、フィット、アコードに続き、新車投入で攻勢をかける。市場が堅調なミニバン「オデッセイ」の新モデルや軽では「ライフ」の後継車、「Nシリーズ」の第4弾も予定しており、ライバルメーカー関係者も「販売が落ちないよう、あらゆる手をつくしている」と舌を巻く。

 セダン販売再構築 高級車中心に新形態店

 販売面では「これまでミニバンが好調だった半面、セダンは力を入れてこなかった時期があった。今後、大事にしていくために、(セダンの)販売を再構築していく」と強調。セダンをてこ入れする計画だ。

 14年以降に高級セダン「レジェンド」の発売も控えているため、総額1000億円以上を投じ、軽・小型車の販売に特化した「スモールストア」に加え、セダンやミニバンなど高級車を中心に販売する新たな形態の販売店を新設する構えだ。

 専門家はホンダが戦略をどれほど迅速に推進できるかにも注目している。

 BNPパリバ証券の杉本浩一シニアアナリストは、9日に稼働したばかりのフィットの生産拠点、寄居工場について「新工場が生産の軌道に乗るまでは時間がかかる。生産態勢がうまく構築できるか、海外での横展開も控えており、これからが正念場だ」と話した。(飯田耕司、古川有希)

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