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コンビニ・物流牽引、製造業国内回帰 13年度設備投資
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東芝が生産能力を増強する四日市工場=三重県四日市市 日本政策投資銀行がまとめた2013年度設備投資計画は、非製造業がバブル期以来の2桁増となり、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」の効果が内需に浸透していることを示した。牽引(けんいん)役は、コンビニエンスストアや物流といった内需関連サービス業だ。一方、自動車や電機など、これまで日本経済を引っ張ってきた製造業も、国内回帰の動きを見せ始めている。
「従来見合わせてきた地域へも出店する」。コンビニ3位ファミリーマートの中山勇社長は出店攻勢を宣言し、1位セブン-イレブン・ジャパン、2位ローソンの追撃に迫力を出す。
コンビニ大手3社を合わせた今期の出店予定は過去最多の約3900店。競争激化に加え、個人商店などの減少で「コンビニのニーズが高まっている」(セブン-イレブンの井阪隆一社長)ことが背景にある。
景気の好転でモノの流れが活性化し、物流業界は拠点整備を急ぐ。ヤマト運輸を傘下に持つヤマトホールディングスは約2000億円を投資し、神奈川県愛川町や東京・羽田空港の隣接地など4カ所に24時間稼働の大型物流拠点を新設する。
円安で訪日外国人が増加していることを追い風に観光施設も意欲的。東京ディズニーランドなどを運営するオリエンタルランドは、13年4~6月期連結決算で最高益を計上した好業績をてこに、新アトラクションへの投資を加速させる。
一方、海外投資を積極化させてきた製造業も、国内需要に振り向き、設備投資にアクセルを踏み始めた。
トヨタ自動車は「今年は国内子会社も含め、昨年より400億円多い4400億円程度投資した」(佐々木卓夫常務役員)。マツダは防府工場(山口県防府市)に、新世代環境技術の変速機を生産する新工場を建設中で、来年7月の稼働を目指す。
東芝は、四日市工場(三重県四日市市)の生産能力増強に向け、8月末から製造棟の拡張工事に乗り出す。スマートフォン(高機能携帯電話)やタブレット端末などでデータ保存に使う「NAND型フラッシュメモリー」の需要増に対応する。
ただ、「民間企業の国内投資は、回復が本格化したとはまだ感じられない」(大成建設の山内隆司社長)と他業種への波及には力不足という見方もある。
政投銀によると、14年度の投資計画は回答企業が少なく、前年計画比10.0%減。減速する中国などの新興国経済や、国内では消費税増税の影響が見えないためだ。