ニュースカテゴリ:企業
サービス
グーグル出身CEO、社内の混乱収拾 米ヤフー「完全復活」へ正念場
更新
一時は身売りもささやかれるほどの不振に陥った米ヤフーの経営が持ち直している。米グーグルから引き抜いたマリッサ・メイヤー最高経営責任者(CEO)が社内の混乱を収拾し、意識改革を推進。新興企業を次々買収するなど反転攻勢に出て、地をはっていた株価も上昇を続けている。ただ、収益を支える生命線の広告収入は伸び悩んでおり「完全復活」は道半ばだ。
「ビジネスは堅調だ」。7月17日に就任1年を迎えたメイヤー氏は、前日の16日に開いた4~6月期決算の説明会で再建が軌道に乗ってきたと強調した。
メイヤー氏が就任する前のヤフーは混乱の極みにあった。グーグルとの競争で後れをとって業績が低迷し、米電子決済大手ペイパルの社長だったスコット・トンプソン氏をCEOに招いたが、内紛でヤフー創業者のジェリー・ヤン氏ら役員が大量離反。トンプソン氏までが学歴詐称問題で去った。株価は急落して顧客も離れ、競合他社がヤフー買収に動き出した。進退窮まり、ライバルのグーグルの副社長だったメイヤー氏に再建を託す離れ業を繰り出した。
萎縮する社内をよそに、メイヤー氏は成長性の高いベンチャーを吸収する拡大戦略に打って出た。今月2日には、ネット閲覧ソフトを手がける米ロックメルトの買収を発表するなど、就任以来買収した企業は21社を数える。トップページのデザインも刷新し、9月には新しい企業ロゴも発表して“新生ヤフー”を印象づける構えだ。
メイヤー氏は士気を向上させるため社員の待遇を改善。最新のスマートフォン(高機能携帯電話)を支給し、古巣のグーグルに倣って食堂を無料化した。効果は離職率の低下に表れ、米紙ニューヨーク・タイムズは「悲観的な社員が減った」と指摘する。株価もメイヤー氏の就任前と比べ7割超も上昇した。
だが、4~6月期の売上高は前年同期比7%減の11億3524万ドル(約1100億円)と業績は復調に遠い。売上高の8割は広告収入だが、調査会社によると世界のインターネット広告市場は12年に前年より2割伸びたのにヤフーは3%増にとどまった。
「優れた人材が増えれば魅力的な製品開発と収益につながる。もう少し時間がほしい」と投資家らに訴えるメイヤー氏を、米誌ニューズウィークは「業績はパッとしないが企業イメージを回復し社内のムードを変えた手腕は評価すべきだ」と指摘する。崖っぷちからよみがえった米ヤフーだが、グーグルなどライバルに勝負を挑む力を十分に取り戻したとはいえず、正念場を迎えるのはこれからだ。(ワシントン 柿内公輔)
2011年9月 キャロル・バーツCEOを解任
12年1月 創業者のジェリー・ヤン取締役が辞任
4月 全従業員の14%削減を発表
5月 スコット・トンプソンCEOが学歴詐称問題で辞任
7月 マリッサ・メイヤー氏がCEOに就任
13年5月 ブログ運営の米タンブラーの買収で合意
8月2日 ネット閲覧ソフトの米ロックメルト買収を発表
※肩書は当時