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なぜ?パナソニック宣伝戦略に違和感 バルサ契約…社内外から驚きの声

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なぜ?パナソニック宣伝戦略に違和感 バルサ契約…社内外から驚きの声

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大阪府門真市のパナソニック本社  メッシやネイマールなどを擁するスペインの強豪サッカークラブ「FCバルセロナ」と、パナソニックがグローバル・パートナーシップ契約を結び、話題を呼んでいる。バルサのサポーターは「経営再建中の日本企業がスポンサーというのは…」と困惑。一方、パナソニック社内からも「効果があるのか。お金がない時期なのに」といった懐疑的な声も聞こえてくる。広告代理店の関係者が「違和感がある」と評した今回の宣伝戦略が“オウンゴール”とならなければよいが…。

 「会社が傾いているのに」と批判相次ぐ

 『パナソニックはそんな金あるのか?』

 『神聖なバルサのスポンサーに日本企業とかあり得んわ』

 『赤字続きで会社が傾いているのにスポンサーとかアホちゃうか』

 パナソニックが7月下旬にバルセロナとのオフィシャル・グローバル・パートナー契約、いわゆる公式スポンサー契約を結んだと発表以来、インターネット上にはこんな書き込みが相次いでいる。

 バルサのペーニャ(公認応援団)日本支部に所属する、ある熱狂的なサポーターの1人も「日本企業がバルサのスポンサーに入るのは驚き。大企業に頼ってこなかった歴史を考えるとポリシーを曲げるのは正直寂しい気持ちだ」と本音を明かす。

 契約期間は2013年4月から16年3月までの3年間。パナソニックはテレビ販売の店頭でデモ映像を披露するほか、店頭装飾やグッズキャンペーン、企業サイトなどにバルサのブランドや肖像を活用するという。契約額は公表していない。

 今回の契約について、パナソニックは「人気実力を兼ね備えた世界ナンバーワンともいえるFCバルセロナのイメージと、世界ナンバーワンブランドを目指しているVIERA(薄型テレビのブランド)のイメージが一致したことから合意に達した。

 パナソニックはFCバルセロナと協力してマーケティング活動を行い、サッカーの生み出す情熱を伝える」と公式コメントを発表している。

 前出のサポーターは「チームを強くするには素晴らしい選手を獲得しないといけない。そのためには外資のスポンサーも必要」と一定の理解を示す。

 “負け組”との契約はマイナスイメージ?

 しかし、別のサポーターは「パナソニックの企業イメージって『攻撃的』『革新的』な感じがしない。それに経営再建中だし、得られる資金によるプラスもあるかもしれないが、それよりもマイナスイメージの方が大きい」と辛辣(しんらつ)だ。

 こんな厳しい声はサポーターだけではなく、パナソニック社内の一部からも漏れてくる。幹部の1人は「なぜ今、この時期にバルサにお金を割くのか、意味が分からない。今回の宣伝戦略により、どれほどの利益が還元されるのか」と厳しく言い放つ。

 ある関係者は「バルサの件は欧州の販売会社の主導で動いていたようで、大半の社員、幹部は契約金すら詳しく知らないのでは。社内にお金がないといわれている時期に、契約額が分かれば、反発が出るかもしれませんね」と話す。

 パナソニックは、一昨年度、昨年度と2年連続で7000億円超の連結最終赤字を垂れ流し、デジタル業界の「負け組」ともいわれた。

 今年4~6月期連結最終利益は前年同期比8・4倍の1078億円とV字回復をみせたが、この好業績は人員削減や事業撤退などさまざまなリストラを断行した結果だ。

 大手電機メーカーの関係者は「メーカーにとって宣伝活動は重要。お金がないときだからこそ、生み出した商品を売るために、世界的に人気のサッカーチームと契約すること自体は間違っていない」と話す。

 スペインリーグは競争力も、魅力もなし

 しかし一方で、大手広告代理店の関係者は「今回の契約を最初聞いたとき、違和感しかなかった。今、リーガ・エスパニョーラ(スペインリーグ)のチームと契約して何を期待しているのか」と疑問を呈す。

 スペインリーグは、バルサとレアル・マドリーの二強化が進みすぎ、イングランド(プレミアリーグ)やイタリア(セリエA)などと比べ、リーグ自体の競争力、そして魅力が失われつつある。

 パナソニックはバルサに移籍したネイマール選手と2011年からグローバル契約を結んでおり、7月にグローバル広告出演契約を更新したばかり。

 前出の広告関係者は「ネイマールとの関係があり、またバルサが特別なチームなのは分かる。それでも、もしメッシがいるから、ネイマールがいるからという発想ならば費用対効果が得られるとは思えない」と突き放す。

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