SankeiBiz for mobile

シャープ、営業黒字でも試練続く 在庫拡大、社債償還…楽観できぬ状況

ニュースカテゴリ:企業の電機

シャープ、営業黒字でも試練続く 在庫拡大、社債償還…楽観できぬ状況

更新

シャープ本社=大阪市阿倍野区(本社ヘリから)  平成25年4~6月期連結決算で30億円の営業黒字となり、24年10~12月期から3四半期続けて営業黒字を確保したシャープ。9月中に実施する増資に向け、コスト削減や液晶の供給先の拡大といった取り組みの成果を株式市場にアピールした形となった。しかし足元では液晶パネルの価格下落が起き、棚卸資産(在庫)の増加が資金繰りを圧迫。社債の償還、年金積み立て不足などの試練が横たわる。金融機関からの支援継続のために「必達目標」とする26年3月期通期の最終黒字化は、引き続き楽観できない。

 在庫増加「販売に備え」

 シャープの6月末の棚卸資産は3562億円。液晶パネルと液晶テレビの販売が不振を極めた24年6月末の5137億円からは大きく減らしたが、今年3月末より455億円増えた。

 在庫の積み上げで、手元資金の余裕度を示すキャッシュフローは397億円悪化した。大西徹夫専務執行役員は棚卸資産の増加について「基本的には第2四半期(7~9月)の販売に備えたもの。調整用ではない」としている。

 製造業では季節変動があり、4~6月は在庫が膨らみがちだ。しかし、世界的に液晶パネルは需要が徐々に減少しており、価格下落が始まっているのは不安要素だ。ドイツ証券のシニアアナリスト、中根康夫氏は「液晶パネルの買い控えと価格下落が起きている。下期はパネルが足りなくなるという見込みがあったが、パネルメーカー側の目算が狂っている」と指摘する。

 業績回復のカギを握る亀山第2工場(三重県亀山市)の4~6月期の稼働率は80%を超えた。しかし、ある納入業者は「7月以降、4~6月よりも稼働率が下がっているのではないか」と指摘している。

 4~6月の生産の大半はテレビ向けの32インチ型が占め、付加価値が高く収益性がある中小型は1割程度だった。シャープは中小型の生産割合を5割前後まで高めたい考えだ。

 また、中国の中国電子信息産業集団(CEC)が建設する新工場向けに、高精細の新型液晶「IGZO(イグゾー)」の技術を供与し、対価を得る形で提携。亀山第2工場で中小型パネルの生産量を確保できなければ、同工場の存在意義が薄れることになり、中根氏は「CECの新工場が量産を始めるまでに、亀山第2の能力を埋めるだけのIGZOパネル受注を果たすことが必須」と指摘する。

 自己資本の増強急務

 一方、シャープの財務の健全性を示す自己資本比率は、3月末と同じ6%。15%前後以上を確保する他の電機メーカーと比べ低い点は否めない。

 さらに26年3月末の通期連結決算では、企業年金の積み立て不足を負債として一括計上する必要があり、1200億円前後の純資産が会計上、消える。6月末の純資産は1330億円。資本増強がなければ負債1.9兆円に対し純資産が100億円前後となり、債務超過が目前の水準になる可能性もある。

 このため、9月中に公募増資と提携企業への第三者割当増資で1千億円超の資本を上積みして備えたい考えだ。

 またシャープは9月末に2千億円、26年3月には300億円の社債償還を控える。今年6月末の手元資金は1546億円で、収益の確実な積み上げでキャッシュフローを好転させる必要がある。なにより、増資に対する株式市場の理解を得るためにも、高橋興三社長体制でスタートしたシャープは、新たな成長戦略を示すことが求められている。(織田淳嗣)

ランキング