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電子部品業界、エネ分野に挑戦 スマホと自動車関連が業績牽引

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電子部品業界、エネ分野に挑戦 スマホと自動車関連が業績牽引

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電子部品大手6社の2013年4~6月期連結決算  電子部品大手の業績回復基調が鮮明になってきた。京セラなど電子部品大手6社の2013年4~6月期連結決算は全社が増収となったほか、最終損益は円安が寄与し4社が増益となった。スマートフォン(高機能携帯電話)や自動車関連部品が引き続き業績を牽引(けんいん)するとみており、下期に向けて業績の上振れ期待が高まっている。

 ただ、スマホや自動車関連部品の競争激化は必至で、各社は自社部品の競争力強化に余念がない。また、スマホや自動車関連部品だけに頼らずに持続的な発展を実現しようと、新エネルギーなど新しい分野の育成に挑戦する動きも出ている。

 高機能化で販売増加

 「スマートフォンやタブレットの販売台数増に加え(それらの)高機能化で1台当たりの部品販売が増えている」。4~6月期連結決算の最終利益が前年同期比約4.9倍になった村田製作所の竹村善人取締役執行役員は、業績好調の理由をこう話す。

 中国経済の失速や、為替の先行きなど不透明要素が強く、14年3月期の連結業績予想については、日本電産が上方修正したものの、残り5社は据え置いた。ただ「主力の(スマホやタブレットなどが含まれる)デジタルコンシューマー部門は、8~9月から上向いてくるのは間違いないだろう」(京セラの青木昭一取締役執行役員常務)など先行きに対し、強気な見方は多い。

 スマホをめぐっては、韓国サムスン電子と米アップルの2強状態が続いている。これまでは販売台数の成長力に陰りが見えたアップルは、これから新機種を出すとされており、年末商戦に照準を合わせ、台数を伸ばしてくるとみられている。新機種投入後、勢いが失速していたサムスン電子も対抗するとみられ、2強に電子部品を納めている業界の期待も高い。

 業界関係者や総務省などによると、世界市場における携帯電話販売台数に占めるスマホ(従来型携帯電話を含む)の比率は、11年は約27%に達しており、15年に5割を超える見通し。また、スマホの販売台数は、11年の4億7000万台から16年には13億台に達するとの予測もある。

 HV拡充で上振れも

 電子部品業界にとって、もう一つの稼ぎ頭は自動車関連部品。その中心となるのは、ハイブリッド車(HV)と電気自動車(EV)だ。「HV、EVは、スマホと比べて普及率はまだまだ低いが、日系自動車メーカーを軸に日本市場や新興国、米国などで普及が進み、関連の電子部品の市場規模としては前年比2割くらいの伸びを期待している」(TDKの熱海一成・電子部品営業グループ営業企画統括部統括部長)という。

 エコカーの2強はトヨタ自動車とホンダ。電子部品業界では、軽自動車に力を注いでいたホンダが、「フィットハイブリッド」を9月に投入するのを機に、HV拡充に乗り出すとみられている。トヨタは堅調にHVを強化しており、ホンダがHVの台数を増やす分が、電子部品業界にとって、上振れ分として期待されている。

 スマホ、自動車関連の部品の追い風で、業績の拡大を期待する電子部品業界だが、最大の懸案は中国経済の先行きだ。スマホ、自動車ともに完成品メーカーが巨大市場として力を入れている中国経済が落ち込めば、その完成品メーカーに製品を納めている部品メーカーの業績に対する打撃は避けられない。

 風力、太陽光発電の需要狙う

 こうした事態に対応し、電子部品各社は、スマホやHV、EV向けの製品力強化や、スマホだけに頼らない経営を実現しようと、新事業の育成にも取り組んでいる。

 日本電産は、自動車や家電に用いるモーターが利益を稼ぎ出したほか、今後も、買収した車載用モーターの開発製造会社が業績に寄与する見通し。

 一方、TDKは、AV(映像・音響)やパソコンなどの情報通信機器向けの電子部品の比重が比較的高く、ハードディスクドライブ(HDD)部品が不振で業績の足を引っ張った。このため、スマホや自動車で稼ぐのはもちろん、新分野の育成など事業構造の転換を急ぐ。

 同社が力を入れるのは、風力や太陽光発電などのエネルギー関連分野だ。具体的には、洋上風力発電などに照準を合わせ、磁石型モーターなど製品の機能向上に取り組む。このほか、京セラの太陽光発電関連事業は、旺盛な国内需要に支えられて、すでに収益増に貢献している。

 激しい環境の変化への対応が求められる業界だけに、経営のスピードが今後の勝負を分けそうだ。(小島清利)

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