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イラク「日の丸油田」稼働 石油資源開発、調達先の多角化前進
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イラクのガラフ油田の生産開始を発表する石油資源開発の中山一夫常務=2日、東京都千代田区 資源開発大手の石油資源開発は2日、同社が開発権益を持つイラク南部のガラフ油田で原油生産を8月31日に開始したと発表した。イラク戦争後のイラクで日本の自主開発油田から原油が生産されるのは初めて。東日本大震災後、原発の稼働停止によりエネルギー資源の安定確保が課題となっているが、今回の「日の丸油田」の生産開始により調達先の多角化が前進する。
ガラフ油田は、イラク戦争後に日本の陸上自衛隊が派遣された南部サマワの近くに位置する。日量3万5000バレルから生産開始し、その後段階的に生産量を引き上げる。2017年には日本の需要1日分の約5%に相当する日量23万バレルにまで増産する。
石油資源開発は、09年にマレーシア国営石油会社ペトロナスと連合を組み、イラク政府の国際入札で日本企業として初めて落札した。
石油資源開発によると、開発資金は同社や三菱商事などの日本勢が40%、ペトロナスが60%を負担。契約期間は20年間で、同期間中に累計約13億バレルの生産を予定する。
産出した原油を売ったお金などにより投資した資金を回収し、原油の一部を対日輸出する方針。対日輸出の量などは現時点では未定だが、石油資源開発の中山一夫常務は2日の会見で「できるだけ多く日本に持ってくることができるように交渉中だ」と述べた。
政府は、原発の稼働停止により代替電源である火力発電所の稼働が増していることを受け、その燃料である石油やLNG(液化天然ガス)の安定確保に力を入れている。
経済産業省資源エネルギー庁は「エネルギー資源の安定確保が喫緊の課題だが、ガラフ油田の生産開始などにより供給源の多角化を進めていく」と強調している。