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【ネットろんだん】2ちゃん情報流出 「匿名の暴言」が突きつけた闇

ニュースカテゴリ:企業の情報通信

【ネットろんだん】2ちゃん情報流出 「匿名の暴言」が突きつけた闇

更新

 匿名掲示板「2ちゃんねる」で8月末、提供されていた有料サービス「2ちゃんねるビューア」の会員情報や書き込み履歴などが流出した問題。クレジットカードなどの個人情報のほかにも、匿名のつもりで吐いた暴言の発言者が特定される例が続出し、一部で深刻な人間不信を招いている。流出という事態は、どんな「闇」を照らし出したのか。

 「僕は2ch上において暴言や誹謗(ひぼう)中傷を多数行っておりました」

 ある人気ライトノベル作家は8月27日、公式サイトに謝罪文を掲げた。匿名で同業作家らに対して「虚言癖持ち」「見栄を張るためだけに嘘をつき続ける人間」などの中傷を書き込んでいたことが、流出情報により明らかになったためだ。

 自業自得なのか

 当然ながら、ネットでは猛批判を浴びて炎上。「完全に自業自得。今回みたいな希少すぎる偶然がなければこいつはずっとクズ行為を続けてたんだよ」(2ちゃんねる)と糾弾が続く中で、「太宰治が現代にいたら同じようなことしてたんじゃね」(同)と、やや同情的な意見も。

 中傷の対象となった作家自身はツイッターで「別に悪く思っていないし、過ぎたことです」と発言し、“大人の対応”を見せている。

 他にも、2ちゃんねるの書き込みをまとめていた人気サイトの管理人は、当の2ちゃんねるで差別語や卑語を並べる「荒らし」行為を常習的に行っていたことが発覚し、サイト閉鎖に追い込まれた。有名企業や官庁、学校などのメールアドレスも多数見つかっており、それらの登録者の発言を割り出そうとする動きも盛んで、騒動は当分の間続きそうだ。

 個人情報のネット流出はもはや珍しくないが、今回の事件が特異なのは、利用者の実名や住所、クレジットカード番号などと、2ちゃんねるの書き込み履歴が照応可能な形で流出したことだ。流出した書き込み履歴は約1カ月分にすぎないが、人によってはカード情報の流出よりも被害が大きいかもしれない。

 流出被害者が善後策を話し合う掲示板では「性癖が個人情報とともに流出した…どうしよう」「社会的に失うものはそれなりにあるよ。この年までいろいろ努力して築いてきたものが。それを自分の不注意と悪意のある人間によってダメにした」「今更後悔してもしきれない、もう二度とネットに変なことは書かない」といった、後悔と怨嗟(えんさ)の声に満ちている。

 同調圧力への反発?

 2ちゃんねるは開設当初から「便所の落書き」とも呼ばれ、あらゆる意見が匿名で自由に投稿できることで人気を集めてきた。最近のツイッターの炎上事件での投稿者批判にみられるように、日本では世間の規範から逸脱した者への社会的制裁は厳しい。日本のネットは国際的に見ても匿名志向が強いとされるが、それは実社会の同調圧力の強さへの反作用とする見方も成り立つだろう。

 「書き込みが結構面白くて、好きだった住人が、別の板の特定のスレでは執拗(しつよう)な荒らしをしていたのは引いたわ…人間の心の闇を垣間見た気がして」(2ちゃんねる)

 今回の流出が突きつけたのは、ネット上に完全な匿名は存在しないという事実の確認はもちろん、人間が匿名を許された場合にどう振る舞うか、それが露見した場合にどんな社会的制裁が降りかかるかという、あまり愉快でない現実だった。(磨)

【用語解説】2ちゃんねる

 IT実業家の「ひろゆき」こと西村博之氏が、平成11年に開設したインターネット掲示板。政治、経済からマイナーな趣味まで、幅広い分野で匿名での自由な書き込みが行われ、短期間で日本最大級の掲示板に成長した。一方で、中傷や犯罪予告などの問題も発生している。西村氏は21年、ブログで2ちゃんねるをシンガポール企業に売却したことを発表した。

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