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東レ、米ゾルテック買収 自動車構造体向け強化、世界トップ不動に
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東レは27日、炭素繊維世界3位のゾルテック(米ミズーリ州)を5億8400万ドル(約580億円)で買収すると発表した。東レは炭素繊維の世界トップメーカーで「レギュラートウ」と呼ばれる航空機向けなどの高機能な炭素繊維に強みを持つが、ゾルテックが得意な風力発電関連用途や自動車構造体向けなど比較的安価な「ラージトウ」と呼ばれる炭素繊維が手薄だった。今回の買収で、高機能と廉価の両分野の炭素繊維を手中に収め、国際的な競争力の引き上げを目指す。
東レとゾルテックは同日、共同会見し、東レの日覚昭広社長は「手の内に(レギュラートウとラージトウの)両方を持つことは非常に重要」と強調。ゾルテックのゾルト・ラミー社長は「炭素繊維の市場を一緒に大きくしていく意味で非常に大きな力を得た」と話した。
ゾルテックを傘下に収めることで、東レの炭素繊維の生産シェアは約21%から32%に拡大する見込み。東レは国内で高機能の炭素繊維を手がけ、低コスト分野でゾルテックの海外の生産設備を活用する計画だ。
炭素繊維は鉄に比べ、軽くて丈夫な素材として知られる。車体軽量化で、エコロジー化が求められる今後の自動車向けには欠かせない素材だ。ただ、その価格は鉄の数倍から十数倍で、一部のスポーツカーを除き、一般車などへの普及が進んでいない大きな要因となっている。
国内の炭素繊維メーカー各社は自動車メーカーとともに炭素繊維活用の模索を続け、海外メーカーとの連携のほか、水面下では国内メーカーとの共同開発も進める。東レは2011年にダイムラーと炭素繊維を使った自動車部品の製造・販売合弁会社を設立するなどしている。
東レは廉価版の炭素繊維および生産技術を手に入れたことで、市場の大きい自動車市場開拓の大きな武器を持つことになる。
買収をテコに帝人や三菱レイヨンなど国内のライバルのほか、台頭する中国・韓国メーカーを引き離し、世界トップの座を不動にする考えだ。