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水を使わずバクテリアで屎尿分解 LIXILの「エコ・サニテーション」

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水を使わずバクテリアで屎尿分解 LIXILの「エコ・サニテーション」

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エコ・サニテーション  住宅設備国内最大手のLIXIL(リクシル)は、トイレの床下に設置した装置内で屎尿(しにょう)を乾燥、バクテリアで発酵分解するだけでなく、水を使わず経費もかからない「エコ・サニテーション」と呼ぶシステムの普及を進めている。

 インドネシアでの事業が9月、国際協力機構(JICA)の協力準備調査(BOPビジネス連携促進)に採択されたほか、6月にはアフリカ開発会議(TICAD)で紹介された。ベトナムや徳島県上勝町などで実証実験を実施しており、インフラ整備や資金が不十分な新興国に加え、先進国でも山間部などで活用できるメリットがあるという。

 このシステムは「循環型無水トイレ」を活用する。屎尿を水で流さないため、汚染が拡散せず地下水や河川などを汚すことはない。バクテリアで分解された屎尿はにおいもなく肥料としての利用も期待できる。

 さらに下水道や汚水処理の設備が不要なため費用がかからず、水不足の地域では水に頼らないトイレとして、屎尿をそのまま河川に流している地域では河川の汚染や有害物質の拡散を防ぐトイレとして環境保全に貢献できる。リンや窒素などの貴重な資源を回収できれば、資源循環にも寄与できるという。

 9月にJICAに採択されたのは、インドネシアの貧困層を対象とする事業。下水道整備が大幅に遅れており、年間600万トンの屎尿がそのまま河川などに流され、疫病が蔓延(まんえん)する原因とされている。

 リクシルは衛生的なトイレへのアクセスを進め、保健衛生状態の改善に貢献する。今後はインドネシアの生活習慣や市場に関する詳細な調査を行い、開発・検証を進める。

 6月に横浜市で開かれたTICADでリクシルは無水トイレのほか、雨水の簡易浄化システムなどを備えた「インフラフリー・ユニット」をケニアのブースに展示した。

 アフリカ諸国の住生活環境の改善を図るためで、(1)無水トイレ(2)雨水タンクと簡易浄化システム(3)食品などの生ゴミ処理装置(4)廃バッテリーを再生利用した蓄電システム-の4点を一つのパッケージにユニット化した。電力も再生バッテリーで賄うため、上下水道や浄水処理設備、発電施設や送電線などのインフラ整備も不要。ユニット化でさまざまな住宅への設置が可能になり、ケニアの都市郊外で増えている住宅需要に応えられるという。

 ケニアでは下水道整備が遅れており、下水処理施設で処理されるのは6割に過ぎない。残りは人工ため池などで簡易処理された後、土壌に排出されているが、自然の浄化作用が追いつかず、環境汚染の拡大が懸念されている。水洗トイレがない住宅や地域では、トイレ用の穴に屎尿をため、そのまま埋めるなどしているという。

 リクシルは徳島県上勝町とも昨年4月からエコ・サニテーションの実証研究を行っている。夫婦2人と子供1人の3人家族の民家の屋外に試験機を設置して水道・電気代や水質の分析、地域全体の費用対効果を検証。1年間のデータ収集で、汚泥発生量の削減と河川保護が確認できた。

 上勝町は2003年に、「20年までにごみの焼却や埋め立てをなくす最大限の努力をする」という目標を発表。これまで34品目に及ぶごみの分別、生ごみ処理機の全戸導入などを実施。最後に残る課題としてトイレ・浄化槽などから発生する汚泥の削減や資源化を検討していた。(藤沢志穂子)

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