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【みずほ問題】霞が関にも波紋 金融庁に批判、競争力会議まとめ役不在に
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■検査は不十分
みずほ銀行が暴力団員など反社会的勢力への融資を放置した問題は、「霞が関」の政府サイドにも影響を及ぼしている。金融庁の検査が不十分との批判が出る一方、みずほフィナンシャルグループ(FG)の社長を兼任する佐藤康博頭取が政府の産業競争力会議の民間議員を辞任し、会議進行に遅れが生じる恐れが出ている。
金融庁は9日、みずほ銀、みずほFGに対し、銀行法に基づいて再度の報告を求める「報告徴求命令」を出した。金融庁への報告が事実と異なっていたためだ。その一方、金融業界などの一部からは「検査が甘かったため、みずほの報告の嘘を見抜けなかったのではないか」といった金融庁批判も出ている。
また、金融庁は9月に大手銀行の検査体制について、銀行別からテーマ別に変更したばかり。不良債権処理を目的とした検査態勢が役目を終えたという判断だが、今回、みずほ問題が広がりをみせる中で、新しい検査方法で十分なのかという疑念も出ている。
■後任選び急務
一方、産業競争力会議では、佐藤氏の辞任に伴い、民間議員の後任選定や、新たなバックアップ体制などの協議が始まっている。安倍晋三政権の成長戦略の推進役である産業競争力会議は、重点課題として「農業」「医療・介護」「雇用・人材」の各分野で分科会を設置し、議論を急ピッチで進める方針だ。その中で佐藤氏は医療・介護分科会のとりまとめ役を務めていた。
ある関係者は、「すぐにでも分科会とりまとめ役の後任を選ばなくてはならないし、新たに民間議員を補充する必要があるか検討しなくては」と語る。
佐藤氏が民間議員に選出された当時は、全国銀行協会の会長職にあり、周囲も「金融界、銀行界の代表」とみていた。だが、大手銀行は、「(政府からの)特段の依頼がない限りは、後任は出せない」(大手銀行関係者)との姿勢だ。
また、みずほは、佐藤氏の民間議員としての活動をサポートするため、スタッフを大量に動員していた。佐藤氏辞任でスタッフ不足も想定されている。