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経団連会長、賃上げに意欲 経済の好循環創出へ「企業が全力で取り組む」

ニュースカテゴリ:企業の経営

経団連会長、賃上げに意欲 経済の好循環創出へ「企業が全力で取り組む」

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経団連の米倉弘昌会長  経団連の米倉弘昌会長は9日、札幌市内のホテルで開かれた北海道経済連合会との意見交換会で「企業業績の改善が投資の増加や雇用の創出、報酬の引き上げにつながっていく“経済の好循環”を創り出すべく企業が全力で取り組まなければならない」と述べ、賃上げに意欲を示した。

 10日には茂木敏充経済産業相が経団連を訪ねて、米倉会長に直接賃上げを要請するが、企業業績の改善をもたらした「アベノミクス」を企業側も賃上げで後押しすべきだとの考えによるものとみられる。

 会場では、経営側から賃上げへの前向きな発言が目立った。東芝の佐々木則夫副会長は「業績が上がれば賃金が上がる。上げられる範囲で上げていくし、(賃金を)底上げできる会社からやっていくのがいい」と強調した。JXホールディングスの渡文明相談役も「ここで賃金を上げていくのは賛成だ。経済人ならみなそう思っているのではないか」と語った。

 一方で、NTTの三浦惺会長は「当然、賃上げはあるだろうが、基本的には労使で決めるもの。企業によっておかれている状況は違う。支払い能力のあることが前提だ」と慎重な見方を崩さない。

 本来、労使で決めるべき賃上げ交渉に政府が要請という形で首を突っ込むことに対する違和感もある。丸紅の勝俣宣夫相談役は「政府が賃上げ額を決められるわけではない。個々の企業業績に関係なく上げろと言っているわけではない。あくまでも要請だろう」とくぎをさした。

 東京海上日動火災保険の石原邦夫相談役は「賃上げは鶏が先か卵が先かの議論だ」と指摘。佐々木氏は「景気が回復し業績が好転してから給与が上がるまでに時間差がある」と述べ、政労使会議で「最後はどういう風に賃上げ要請に対応したか教えろと政府に迫られるのではないか」と警戒感を隠さない。

 春期労使交渉で経営側のスタンスをとりまとめる経営労働政策委員長を務める宮原耕治・日本郵船会長は「企業環境は間違いなく明るくなってきた」と認めるが「政府の要請は要請として、賃上げは中間決算の内容や税制改正の行方を見てから判断したい」と話す。(早坂礼子)

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