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【Sakeから観光立国】京のスタイルを体現した日本酒 聚楽第

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【Sakeから観光立国】京のスタイルを体現した日本酒 聚楽第

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 □平出淑恵さん(酒サムライコーディネーター)

 京都の蔵元といえば、南の「伏見」を思い浮かべるが、今回紹介する佐々木酒造(京都市上京区)は洛中唯一の蔵だ。最近では俳優の佐々木蔵之介さんの実家としても知られるようになった。

 関白秀吉の邸宅から名前をとった、この蔵の銘柄「聚楽第」は、千利休が茶の湯にも使ったといわれる「金明水・銀明水」を仕込み水として洛中伝承の手造りの技法で醸し続けている。洛中には、良い水があるからこそ生まれる豆腐や湯葉、生麩の店や、茶の湯の家元がいまも存在しており、名水は健全なのだと知ることができる。

 現社長の晃さんは、三男で蔵を継ぐつもりは全くなかったそうだ。

 お会いすると、いつも風情は自然体で肩に力の入ったところは一切感じられないが、日本酒全体の振興活動には意欲的に取り組まれている。

 全国に先駆けて京都市が「日本酒で乾杯」を条例化したことにも積極的に動かれたそうで、それも後になって知られたりするのが京都風なのだろう。それは奥ゆかしいのだ。京都の方々のこのスタイルがわかりづらくて戸惑うこともあったが、最近は「このスタイルこそが文化なのだ」と京都への憧れを深めている。

 新規参入がまれな日本酒業界を構成している蔵元のほとんどは創業百年以上。世界一老舗企業の多い日本の中でも突出している産業だ。インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC、ロンドンで1984年から続く世界最大規模のワインコンペティション)の日本酒部門にかかわり、グラスの中の世界を追求してきたが、日本各地の蔵元の地域文化を体現したようなスタイルこそが日本酒の酒質にも迫る魅力ではないか、それこそが世界でもオンリーワンと誇れる日本の生きた文化と思えてならない。

 年々出品数が増え、上位受賞が難しくなるIWCだが、「聚楽第」は、今年見事にゴールドメダルを受賞した。584銘柄中わずか25銘柄が得られた名誉を手にしている。

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【プロフィル】平出淑恵

 ひらいで・としえ 1962年東京生まれ。83年、日本航空入社、国際線担当客室乗務員を経て、2011年、コーポ・サチを設立、社長に就任。世界最大規模のワインコンペティション、インターナショナル・ワイン・チャレンジの日本酒部門創設に参画。観光庁酒蔵ツーリズム協議会メンバー、乾杯SAKE学苑(台湾)校長などを務める。

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