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【Sakeから観光立国】名門ホテルの気概 日本酒の奥深さを発信

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【Sakeから観光立国】名門ホテルの気概 日本酒の奥深さを発信

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 □平出淑恵さん(酒サムライコーディネーター)

 東京五輪のために来日した観光客に富士山を見せたいという理念で、1964年に開業した「ホテルニューオータニ」(東京都千代田区)17階の回転展望ビュッフェレストラン「ビュー&ダイニング ザ スカイ」。1日の来店者が300人を超える高級店が、2020年の東京五輪招致が決まって間もなく、大きなチャレンジを始めた。

 観光庁の酒蔵ツーリズム事業に呼応する形で、飛騨・高山と知多半島で作られる日本酒のコーナーをレストランの正面に設営、来店客がずらりと並んだ一升瓶の前を通ってテーブルに案内されるようにしたのだ。

 この新しい取り組みにチャレンジする、同レストランの安藤秀樹支配人は「今、世界で日本酒が注目を浴びている中、日本での需要は落ち込んでおり、もう一度日本酒の価値を認識していただきたいという思いがあります」と話す。

 飛騨・高山と知多半島の関係者の協力の下、東京にあまり出回らない隠れた逸品やコンクールで優れた成績を収めた日本酒など、さまざまなジャンルの日本酒をフリーフロー(飲み放題)で楽しむことができる。

 同レストランは、海外からの宿泊客も多く来店するため、そういった人たちにも、日本酒のおいしさを紹介する狙いがある。ここで日本酒に興味を持った人たちが、酒蔵ツアーに参加するきっかけになることも視野に入れ、来店客に広く日本酒とその文化について知ってもらいたい考えだ。

 地酒を通じて、レストランを利用する幅広い顧客に「地域」を味わってもらおう、という取り組みには「日本酒の奥深さを知っていただきたい」(安藤支配人)という強い願いが込められている。いつの時代にも業界をリードしてきた名門ホテルの気概を感じる。

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【プロフィル】平出淑恵

 ひらいで・としえ 1962年東京生まれ。83年、日本航空入社、国際線担当客室乗務員を経て、2011年、コーポ・サチを設立、社長に就任。世界最大規模のワインコンペティション、インターナショナル・ワイン・チャレンジの日本酒部門創設に参画。観光庁酒蔵ツーリズム協議会メンバー、乾杯SAKE学苑(台湾)校長などを務める。

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