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【1000万台の先へ トヨタ 新たな挑戦】(5)社外取締役に元ライバル招聘
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■「もっといいクルマ」大胆改革
トヨタ自動車の強みも弱みも熟知する1人の外国人が6月の株主総会で社外取締役に選任された。
マーク・ホーガン、62歳。米自動車最大手、ゼネラルモーターズ(GM)グループの元副社長で、社長の豊田章男とは旧知の間柄である。
トヨタが社外取締役を登用するのは初めてで、かつてのライバルを招聘(しょうへい)した格好だ。外部からの監視機能を強化することで「リーマン・ショックのようなことが再び起こっても確実に利益を出せる体質に」という豊田の決断だった。
◆意思決定を迅速化
トヨタは、4月1日に仕事と意思決定の仕組みを変えることを目的に、大幅な組織改正を実施した。
自動車事業について「開発」「生産」「販売」という機能別の組織から「市場別」「商品別」に再編。高級車ブランドのレクサスを手がける「Lexus International」と先進国担当の「第1トヨタ」、新興国担当の「第2トヨタ」など4つのユニットを設置した。
「現場に近いところでスピーディーに判断できるようにした。担当の副社長は各ユニットの社長として指揮を執ってもらう」と、豊田は権限委譲を強調する。
さらに国内外の地域本部は6本部から8本部に細分化。注目すべきは4本部に日本人以外の本部長が就いたことで、それまでは1人だった。
「トヨタの弱点は意思決定に時間がかかっていたこと」。社外取締役に就任したホーガンはこう指摘した上で、「4本部のトップが現地の人材になった。権限を委譲し、各地域の自立を認めたことは大きな意味がある」と期待を寄せる。
◆根本から見直し
トヨタでは今、クルマづくりを根本から見直す「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」と名付けた活動が始まっている。
運動性能のほか、視界やデザイン性も向上させ、感性に訴えるクルマを開発するプロジェクト。2015年に発売する新型車からの順次導入を計画している。
この活動では複数車種を同時に開発することで、部品やユニットの共用化を進め、開発効率の20~30%向上をめざす。調達部門や生産部門などが一体となって、より作りやすいシンプルな部品の構造も追求する。
また、自社専用の規格で開発していた部品を、競合他社が採用している部品にも対応できるよう標準規格にする。こうした活動によって使用する部材の“まとめ発注”が可能になり、低コスト化を図ることができる。技術部門を担当する副社長の加藤光久は「日本の製造業を守り、日本発の付加価値の高いクルマをつくるため、このTNGAを完遂する」と強い口調でいう。
「もっといいクルマをつくろうよ」
7月31日。新車や新技術の社内表彰制度「トヨタアワード」の表彰式で、豊田は大きな声で会場に呼びかけた。単純な言葉だが、それだけに社員たちの胸にストレートに響いたに違いない。=敬称略、おわり