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【視点】産経新聞経済本部編集委員・早坂礼子 日韓関係は未来志向で対話を
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■両国の懸け橋になる若者大切に
6日、経団連、日本商工会議所、経済同友会の経済3団体と日韓経済協会は、韓国の裁判所が日本企業の戦時中の徴用に対する個人請求権を認める判決を出したことを憂慮し、良好な経済関係を求める声明を発表した。それにしても日韓の焦点は常に過去だ。なぜ未来の話ができないのだろう。
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2001年1月26日夜、東京・JR新大久保駅で3人が亡くなった。泥酔してホームから転落した男性と、彼を助けようとした2人の青年だ。一人は日本人のカメラマン、もう一人は韓国人留学生の李秀賢(イ・スヒョン)さんだった。
税務署員の父と看護婦の母の長男として韓国の蔚山(ウルサン)市に生まれた秀賢さんは日韓貿易の仕事に就くのが夢で、高麗(コリョ)大学(ソウル特別市)4年のときに日本語を勉強するため東京へ留学した。両親へ「日本人は勤勉で礼儀正しく秩序をよく守る」と書き送っていた。事故の後、両親は息子の遺志を継ごうと国内外から寄せられた見舞金をもとに日本語を学ぶアジア人学生のための奨学金を設けた。それが秀賢さんの名を冠した「LSHアジア奨学会」で、今年も10月17日に東京都内で13年度の奨学金授与式が行われた。授賞式では日韓首脳からのメッセージが読み上げられた。「日本との懸け橋になる多くの留学生が日本で勉学に励み、日韓友好の絆の基礎が確実に築かれている」(安倍晋三首相)、「奨学会の活動は日本と韓国はもちろん、アジアの国民をつなぐ大切な懸け橋となっている」(朴槿恵(パク・クネ)大統領)。就任後、いまだに正式な会談が実現していない両首脳だが、コメントの趣旨はほとんど同じだった。
事故があった01年1月には「日韓高校生交流キャンプ」も始まった。日韓経済協会と韓日経済協会の主催で両国の高校生が混成チームを組んで合宿し、両国交流に資する事業計画を練って発表する。協働作業を通じて理解を深めるのが狙いだ。
20回目のキャンプは今年7月28日から8月1日の4泊5日、大阪市内の研修施設で開かれた。日韓双方から各50人計100人が参加。全10チームの中からテコンドーと柔道など両国のスポーツや文化の比較体験を通じて相互理解を高める事業を提案したチームが最優秀賞を得た。
終了後の感想文に韓国の女の子はこう書いた。「キャンプ前は日本に対する偏見を持っていた。韓国が領土や慰安婦問題を扱うときに日本が非道徳的で非人間的に描かれていたからだ。キャンプ終了後は日本に対するイメージが180度変わった。日本の学生たちは素直でおとなしく、責任感と礼儀正しさがある」
日本の男の子はこう記した。「韓国の学生は自己主張がしっかりあるが、他人の意見を聞き入れる柔軟性もある」「別れのとき、僕らは間違いなく全員が絆を感じていた。日本人だろうが韓国人だろうが関係ない。日韓関係の懸け橋になるのは僕らだ」
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冒頭の各経済団体の共同声明は「日韓両国はお互いに重要なパートナーで、経済界は両国が引き続き良好な経済関係を維持・発展させていくことが双方にとって重要」と明記し、徴用工問題が深刻化すれば両国の経済関係に悪影響を与えると両国関係者に事態の早期打開を求めている。
韓国にとって日本は貿易額で中国に次ぐ世界第2位の相手国、日本にとっても韓国は中国、米国に次ぐ第3位の国だ。12年に日本の韓国への直接投資は前年比18.9%増の約162億6000万ドル(約1兆6100億円)と過去最高を記録したが、今年上期は前年同期比で48.6%減となっている。
問題がこじれれば、こうした日韓関係が一段と冷え込むことは避けられないだろう。自国製品が相手国で売れなくなり、人の往来が減るかもしれない。私が恐れるのは交流キャンプの中止など両国経済のこれからを担う若い世代への悪影響だ。
キャンプの参加者は「僕らは飛行機で1時間という近距離に住んでいて、これからも生きていく」「日韓の懸け橋になりたい」と書いた。彼らの未来を過去のわだかまりで狭めてはならない。お互いに何ができるのか、両国政府は韓国の司法判断とは別に“過去”ではなく“未来”を見据えてきちんと話をすべきだろう。