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【トップは語る】アサヒグループHD社長・泉谷直木さん(65)
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■よりしたたかに中国市場を取り込む
--消費税率の引き上げ後をにらんだ事業戦略は
「2つの視点で見ている。一つは『増税で価格が上がって消費が下がり、下手をすれば全体の売上高も下がる』。もう一つはアベノミクスが効果を上げている中で、賃上げがどうなるかの問題もあるが『確かに価格は上がるものの価値観が多様化する。それによって商品価格も多様化する』ということだ。それだけに(プレミアムや第3のビールなどの)ミックス戦略が非常に重要だ」
--賃上げと設備投資にどう対応するのか
「法人税が下がれば確かにプラスになる。だが、それが設備投資に回ったとしても、われわれが行うのは全て『効率化』の投資だ。生産性を上げれば雇用に対し、むしろマイナスに働く。今の供給力はビール市場に対して高すぎる。需要が高まって供給力とのギャップが逆転すれば、そこで雇用や賃金が動く。見極めが肝心だ」
--インドネシアで、ボトル入り飲料水も含む清涼飲料事業の枠組みが整った
「インドネシアの飲料市場は成長過程にあり、しかも大手5社のシェアは6割に過ぎない。だから、販売力が強い現地の食品大手インドフードと組んだ。当社の技術と彼らのアイデアとを組み合わせれば、ブランド力がゼロからの出発でもいけると踏んだ」
--中国食品最大手グループと粉ミルクなどを扱う合弁会社を11月に設立する
「小さな会社だが、アサヒが過半を出資する。1000億円単位の大きな出資額で始めると、中国側はマジョリティー(過半数)を渡さない。中国市場での戦略を少し変えていて、以前は大きく投資して工場を建ててという感じだったが、今後は小さく始めて成長を取り込みながら大きくする。取り込めなければ、やめてしまう。積極性は今までと変わらないが、よりしたたかにいく」
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【プロフィル】泉谷直木
いずみや・なおき 京産大法卒。1972年アサヒビール入社。広報部長、経営戦略本部長、東京支社長などを経て2003年取締役、10年社長。アサヒグループの持ち株会社移行に伴って11年7月から現職。京都府出身。