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「4K」対応機器、五輪視野に商戦活発化 ソニーなど技術と品ぞろえ競う

ニュースカテゴリ:企業の電機

「4K」対応機器、五輪視野に商戦活発化 ソニーなど技術と品ぞろえ競う

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ソニーはスポーツ生中継のための4K機材を拡充している=13日、千葉市美浜区  フルハイビジョン(HD)の約4倍の画素数を持つ高精細な映像技術「4K」の試験放送が来年から始まるのを前に、4Kに対応した放送機器の商戦が活発化している。ソニーが13日、生中継用の4Kの新商品群を発表するなど「昨年に増して熱気が感じられる」(総務省の南俊行官房審議官)市場となっている。2020年の東京五輪開催が決まり、世界初の4K本放送開始も視野に入ってきた中、各社は世界最高水準の技術と品ぞろえを競い合っている。

ソニーは生中継用

 ソニーが発表した4Kの生中継用カメラシステムは、HD映像の制作にも対応しているのが特徴。カメラなどすべてそろえた場合の想定価格は約1500万円に上る。ただ「広告収入の落ち込みから、放送局側も投資を絞ってきている」(ソニー幹部)のが実情だ。そこで同社は、4K映像から一部を切り出して現行の放送波に載せる機能などをアピール。放送局に対しHD機器からのスムーズな置き換えを提案している。ブラジルで6月に実施した4K生中継のテストには、世界25カ国の放送局関係者が参加するなど関心はすでに高まっている。

 東京五輪の開催決定を受け、競合メーカーも4K対応を強化している。キヤノンは来年1月下旬、30型の業務用4Kディスプレー(想定価格約300万円)を投入する。すでに発売している4Kカメラなどと合わせ、放送局や映画製作会社に売り込む。パナソニックは来年にも、放送局向け4Kカメラを製品化する計画だ。

20年には「8K」

 政府は、サッカーのワールドカップ(W杯)ブラジル大会が開催される来年に4Kの試験放送、東京五輪が開催される20年には4Kを上回る放送技術「8K」の本放送開始を目指している。こうした高度な放送技術に対応した機器をめぐっては「ハリウッド映画で映像技術を培ってきた米国と、日本がトップを並走している状態」(業界関係者)だ。

 4K放送の実現は、政府が推進する「クール・ジャパン」の柱となる映像コンテンツの海外展開にも直結するだけに、政府も後押しをする方針。4Kを含めた放送機器の商戦は、来年にも本格化するとみられており、早くも過熱している。

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