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【北海道発 元気印】丸共水産 エイ由来のCSオリゴ糖量産

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【北海道発 元気印】丸共水産 エイ由来のCSオリゴ糖量産

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 超高齢社会の進展で健康維持の効能をうたう機能性食品(サプリメント)に高い注目が集まっている。こうした中、丸共水産(北海道稚内市)は、近海で獲れるエイ科の魚「カスベ」(ガンギエイ)から、関節症などに効果があるとされる原料の量産に成功。今年度の北海道新技術・新製品開発賞食品部門の大賞を受賞した。これをばねに一層の事業拡大を目指している。

 ◆関節症などに効果

 高齢化につれて変形性関節症による運動器機能の障害も急増している。ただ、特効薬の開発は進まず、予防的に機能性食品を摂取するのが有効といわれている。

 丸共水産の宮本宜之社長は「エイは、サメと同じ『板●類(ばんさいるい)』で骨のほとんどが軟骨でできている」ことに注目。北海道立総合研究機構工業試験場や北海道大学大学院と共同でコンドロイチン硫酸(CS)を体に吸収しやすくした「CSオリゴ糖」に変え、その量産方法を開発した。

 ワシントン条約の規制対象であるサメではなく、北海道産のカスベを原料にしている上、従来のCSに比べて水に溶けやすく、腸での吸収性が300倍以上も向上したことが高い評価を受けた。

 カスベ由来のCSオリゴ糖は当初、釧路水産試験場、工業試験場など5社・団体で開発に着手。2002年にカスベから完全無添加のコンドロイチンを作った。高分子のため良くないとされていた吸収性にこだわり、06年にはCSオリゴ糖の構想を得た。しかし、特殊な化学分析を必要としたことから、いったん開発を中断した。

 再挑戦したのは10年頃。「高温・高圧水マイクロ化学プロセス技術」によるホタテ香味調味料製造の研究をしていた工業試験場エネルギー環境グループの松嶋景一郎主査が「この技術を応用できるのでは」と手を差し伸べた。松嶋主査は、同技術でCSを低分子化してオリゴ糖化することで吸収性を高め、実生産規模でカスベの軟骨から純度90%のCSオリゴ糖を大量生産する道を開いた。また北大大学院では詳細な構造分析や吸収性試験を行い消化吸収性が高いことを確かめた。

 CSオリゴ糖を原料にした製品は14年1月から、丸共バイオフーズがインターネット販売する予定。さらに別のルートを模索している。大手製薬会社の問い合わせや引き合いが増え、今後、OEM(相手先ブランドによる生産)製品として、連携などができればとビジネスの可能性を探っている。

 ◆地場資源を活用

 丸共水産は1950年、父の綏之(やすゆき)氏が、稚内の水産加工会社を集約し「丸共稚内水産出荷組合」として設立したのが始まりだ。52年、株式会社に改組し、地場の水産品を冷凍すり身などに加工したり、関連する製氷・冷凍事業などを拡大した。

 一方、95年に社長に就任した宜之氏は学生時代、ポリアミノ酸の化学合成などを学び、卒業後も約10年間、東京の医薬品メーカーで研究を続けた。この知識と経験を生かして水産資源を活用した新規事業に着手。道内の試験研究機関と連携し、北海道の水産資源を原料に、機能性食品事業に進出した。

 水産加工業は、天候や海水温などで漁獲量や種類が激変する。漁を行う海域の問題や燃料高騰、為替相場、景気などの変動にも、大きく左右される。このため「経営の安定と資源の有効利用を目指して進出した」(宮本社長)。また、地場資源については「漁獲量が減り原料が少なくなっても原料を冷凍保存でき、確実に製品ができることが強み」とこだわる。実際に通常の約2年分の原料を確保している。

 水産資源からコラーゲンやヒアルロン酸、カルシウムなどを抽出して相次いで製品化。96年にサプリメント事業部を発足、2003年に「丸共バイオフーズ」を分社し、事業を拡大してきた。

 宮本社長は、CSオリゴ糖のように「差別化できるオンリーワン製品を極めたい」と今後も地場の資源を活用しながら、市場ニーズに対応できる製品を開発していく考えだ。(川端信廣)

                   ◇

【会社概要】丸共水産

 ▽本社=北海道稚内市中央4-18-18

 ▽設立=1952年8月

 ▽資本金=4500万円

 ▽従業員=33人

 ▽事業内容=水産物の製造販売および加工全般

                 □ ■ □

 ≪インタビュー≫

 □宮本宜之社長

 ■超高齢社会で需要さらに拡大  

 --北海道新技術・新製品開発賞の食品部門大賞を受賞した

 「道立総研工業試験場や北大大学院先端科学研究院をはじめ産学官の研究機関がさまざまなピースとして集まり、大きなジグソーパズル(製品)を完成した。資金も北海道経済産業局の地域イノべーション創出研究開発事業や北海道中小企業総合支援センターの中小企業競争力強化促進事業などから支援を受け『ご縁が作った製品』といわれている。受賞を起爆剤に産学官や金融機関と一体になって北海道発の製品を育てていきたい」

 --サメなど、漁獲規制が厳しくなっている

 「CS(コンドロイチン硫酸)の原料はサメが8割、ほかはイカやサケなどだった。ワシントン条約で一部のサメやエイが規制の対象となり、CSの需要が増える中で、原料の安定供給面で問題視されていた」

 --カスベに目をつけたのは

 「カスベは北海道の周辺海域で約2000トンが獲れる。稚内はこのうち約1000トンだ。北海道や東北では食料や肥料に使われる。豊富な地場の資源として活用を考えてきた。1995年頃から研究を始め、2003年頃には一応、物ができたが、より高い品質を求めて、チャレンジを続けてきた」

 --これからの見通しは

 「超高齢社会になり、関節など運動器機能の障害が増えている。患者は全国に1200万人いるとされ、約1割は介護が必要だ。潜在的な患者は4000万人とみられている。加齢による変形性関節症がほとんどで、筋肉の衰えや肥満で軟骨がすり減り、炎症を起す。痛みを軽減する治療を行うが、未だに特効薬はない。このため日常の予防が重要視され、軟骨の構成成分や抗炎症機能を持つ関節サポート素材を使う機能性食品が有効とされている。この素材の市場は、金額ベースで20億円以上の規模に達しており、高齢化の進展とともに需要がさらに拡大するとみている」

                   ◇

【プロフィル】宮本宜之

 みやもと・のぶゆき 信州大繊維卒。大手企業でポリアミノ酸の合成と構造解析などを研究。1994年、丸共水産に入社、95年から現職。2003年、丸共バイオフーズ社長を兼務。51歳。北海道出身。

                 □ ■ □

 ≪イチ押し!≫

 ■添加物不使用の機能性食品

 北海道産の軟骨魚から独自製法で抽出した、ムコ多糖タンパク複合体(軟骨エキス)を、そのまま粒にした機能性食品「コンドロイチン」。コンドロイチン硫酸(CS)約45%とII型コラーゲンペプチド約40%を含む。増量剤や保存料、香料などの添加物は一切加えず、長年愛好してきたユーザーも少なくないという。

 CSは「ムコ多糖」といわれる特殊な構造を持つ糖からなる高分子物質だ。細胞結合組織(細胞外マトリックス)の主要成分で、生体内ではタンパク質と結びついた「コンドロムコタンパク質」の形で、あらゆるところに存在する。強いマイナスイオンであるため、水分を保持する力が非常に強く、健康維持には欠かせないが、加齢とともに体内の生成量が減るため、外部から補給する必要がある。価格は1瓶(72グラム入り)、9240円。

●=角の右に思

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