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富士通、見えない汚染を視角化 PM2.5、放射線の測定・分析技術
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PM2・5測定器にセットしたフィルターは1日経つと、灰色に汚れていた=13日、東京都江東区 呼吸器系疾患を引き起こす微小粒子状物質「PM2.5」や放射能汚染への不安が高まっていることを背景に、富士通が空気中の汚染物質の測定や分析を行うサービスを強化している。グループの総合的な技術力を生かして、リアルタイムの計測や詳細な分析、施策の提言までワンストップで対応しており、国内外の注目を集めている。
富士通が全額出資する富士通クオリティ・ラボ(川崎市)は2012年4月から、自治体向けにPM2.5の自動濃度測定から成分分析までを一括で提供するサービスを展開している。
濃度測定サービスは約40~50カ所で実施しており、自治体向けの測定機器では約3割のシェアをもつ。データは、国立環境研究所に集約され、インターネット上で公開。PM2.5の発生がより深刻な中国・福建省にも計測システムを納入している。
PM2.5はさまざまな成分の混合物で、発生源も多岐にわたる。しかも、丸1日かけても1マイクログラム程度のごくわずかな量しか捕集できないことから、成分分析には非常に高度な技術が求められる。
同社はフィルターで捕集したPM2.5について、重さのほか、無機イオン、無機元素などから成分を特定。ケイ素や硫黄、炭素などの含有割合から原因物質や発生源を探る。こうした成分分析まで手掛けるサービスが評価され、これまでに約10の自治体が採用を決めた。
地形やそのときの気象条件を勘案しながら汚染物質の飛散状況を3D(3次元)で解析するシミュレーション技術も開発した。それをもとに将来は、自治体などに具体的な対応策を提言するコンサルティングサービスも手掛ける計画という。
一方、東京電力福島第1原子力発電所の事故の影響で、目に見えない放射性物質に対する懸念も高まっている。
これに対応するサービスを開発したのが富士通エフサス。放射線量を定期的に自動測定し、ネットワーク経由で提供している。太陽光パネルを搭載しており、屋外など電源のないところでの利用も可能だ。
放射性物質を除染した場所の放射線量の推移を管理したい自治体や、東日本大震災の被災地のがれきを受け入れた自治体、観光地や観光施設の放射線量を公開して観光客に安心感を与えたい自治体などの利用を想定している。
このうち福島県湯川村では12年12月、除染作業で除去した土や雑草を保管する「仮置き場」に、同社の計測機器を設置。13年1月から計測を開始した。
計測値を計測機器に搭載された液晶パネルにリアルタイムで表示しているほか、放射線量や位置情報などのデータを10分おきに蓄積している。データをサーバーに送信し、分析するオプションのサービスは外すことで導入コストを抑えた。
仮置き場の放射線量を正確に住民に伝えられるようになったことで、同村では「住民へ安心を提供するという意味では、これ以上のものはない。放射線についての問い合わせやクレームがないのがその証拠」と評価しているという。(米沢文)