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新興国攻略へ「留職」相次ぐ パナソニックら大手、NGOに人材派遣

ニュースカテゴリ:企業の経営

新興国攻略へ「留職」相次ぐ パナソニックら大手、NGOに人材派遣

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 NPO法人(特定非営利活動法人)クロスフィールズ(東京都品川区)が展開する「留職」に、大手企業が注目している。留職は、新興国に拠点を持つNGO(非政府組織)に1カ月から1年間にわたって企業が社員を派遣し、現地で直面する社会的課題に取り組むプログラム。参加を通じて、現地ニーズを的確に踏まえた商品開発などで今後の事業展開に結びつけたり、現地の文化を熟知したグローバル型リーダーを育成できるのが人気の理由だ。クロスフィールズの呼びかけに応じた企業は10社を超えた。2016年度までに導入企業を50社に増やす考えだ。

 転職支援業のビズリーチ(東京都渋谷区)は11月中旬、世界規模で活躍するNPO3団体が経営幹部を公募しているのにあわせ、合同説明会を実施した。集まったのはビジネスの最前線で活躍する20~30代の約70人。とくに人気が高かったのがクロスフィールズだ。

 同法人を創業したのは、青年海外協力隊に参加した経験を持つ小沼大地・代表理事。「日本に求められるのは、さまざまな価値観の人を巻き込んで前進できるリーダー。それには社会の課題に取り組んだという原体験が不可欠」と考え、留職に着目した。プログラムは今年で3年目を迎える。

 「熱の伝播」が醍醐味

 いち早く取り入れたのがパナソニックだ。今後の事業展開を考えると「新興国の社会課題に敏感で、具体的な解決策を提案できる人材を育成する必要がある」(担当者)と判断、環境・エネルギー、ヘルスケア、教育という3分野のNGOを選定。「PIVoT」という独自名称でクロスフィールズと連携しながらプログラムに取り組む。

 社員は年休を活用し自己負担で渡航する。ベトナムとインドネシア、それに新興国の最重点地域と定めるインドに派遣しており、今後も人数を増やしていく計画だ。

 ベトナムでは、デザイン系社員が、太陽光を利用した調理器具「ソーラークッカー」を製造販売するNGOで活動した。

 現地の貧困層は、薪を集めて火をおこし食事を作る。しかしその際に出る有毒な煙が、目の病気の原因になるなど多くの社会問題を引き起こしている。

 問題解決にソーラークッカーは不可欠だが、生産コストが高くてなかなか普及しない。価格を下げるための生産改善に、パナソニックの技術が注目された。同社にとって、ベトナムの低所得者層がどういった暮らしをしているかを把握し、無電化村で何に取り組めばよいかを認識するチャンスでもあった。

 これを受けて、社内の異なる部署にいる数人のメンバーでチームを立ち上げ、現地と日本を映像で結ぶビデオ会議などを通じ議論を重ねた。「今のベトナムに松下電器産業(現パナソニック)が創業したときの景色を見た」。そんな思いもメンバーの胸に去来した。

 その結果、生産コストを20%削減したソーラークッカーの試作品を開発。肉じゃがを作ってフェイスブックに投稿したら社内外からものづくりの素晴らしさをたたえる声が集まった。メンバーを中心に提案活動も盛んになった。小沼代表理事は「このように熱が伝播(でんぱ)していくことが留職の醍醐味(だいごみ)」と語る。

 現地ニーズを把握

 留職に対する評価はじわじわと浸透、13年度はエヌ・ティ・ティ・データなどが参画。延べ11社となった。新たに取り組む日産自動車は2人のエンジニアを派遣する予定。同社にとって新興国戦略は重要課題で「現地のモビリティー(移動環境)にかかわるニーズを理解し、独自の価値を創造し提供できるようにしたい」(技術開発部門の担当者)と留職効果に期待する。

 日系のグローバル企業が成長戦略を歩むには、新興国の攻略が欠かせない。それには現地ニーズの把握から始める必要がある。留職が脚光を集める理由がここにある。(伊藤俊祐)

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