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【本気の仕事講座】叱り飛ばして中庸を見極める
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拙著『ビジネスで活かす電通「鬼十則」仕事に誇りと自分軸を持つ』(朝日新書)後書きで述べたことの中に、前略~“先陣の谷に突き落とす”という表現がある。
何度となく深い谷に突き落とされても必死に這(は)い上がっていく“タフガイ”にのみ、“電通DNA”を引き継がせていくように感じた。そのようなプロセスをたどってきた猛者たちを見て、後輩は必死に駆け上る。ようやく先輩の域に達したかと思ったら、先輩はさらに高い所に駆け上がる。社内を見渡せば、いろいろな「技」をもった先輩がいて「ロールモデル」には事欠かなかった。修羅場のような日々が続き、トイレに行っては今にも泣き出しそうな情けない自分の顔を鏡越しににらみかえす。「負けてたまるか!」と心の中で叫び現場に戻り、罵倒・叱責・怒濤(どとう)の嵐に突入する。
広告会社の生命線ともいえる「扱い」の維持・拡大・奪取だけを目指して全力疾走する毎日。不屈の精神力とそれに支えられた肉体力をもち、「鬼十則」「責任三カ条」を行動規範として、この弱肉強食のサバイバルを生き抜く。筆者はそのような環境でビジネスマンの一歩を踏み出し駆け抜けてきた。叱って育てる典型のようなOJT(職場内教育)によって鍛えられた。
ゆえに企業・団体の新人、営業系人材育成等研修講師を仰せつかることが多いが、持論はまず「叱って育てる」で変わりがない(笑)。“未成熟なオトナ”が増えたことは現代社会諸問題の一つ。ここで言う未成熟さとは「他責的」「打たれ弱さ」「依存体質」等に象徴される。本来社会に出るまでにオトナになるということは何か。それはさまざまな挫折を繰り返し体感し、親兄弟、親戚(しんせき)、先生など周囲の期待とも折り合いをつけ、何でもできる!という万能感を喪失して、自らの限界を自覚していく過程だと考える。幼少的な万能感から脱却できず、自己愛的イメージの殻に閉じ籠もり、現実の自分と向き合えないサマが未成熟なオトナではないだろうか。古式ゆかしき日本社会では家庭、学校、地域三つの教育が連携して、成熟した大人が社会に輩出され、その上で各企業などでOJTが施されるという流れがあったように感じる。
悲しいかな現代はそのトライアングルがない。職場OJTも“箸の上げ下ろし”から始めなくてならない。物事にはすべからく長所短所の両面を持つ。指導法についても然り。叱って、褒めての2通りがあるが、筆者はまず「叱って」法で突き抜ける。振り子は振り切ったら戻るしかない。その中庸を見極めるためにも、まずは叱り飛ばす!
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【プロフィル】柴田明彦
しばた・あきひこ 1959年、東京生まれ。慶大法卒。83年に電通入社、新聞局出版・コンテンツ開発部長などを歴任。2006年に退社し、(株)A&Y TRUST 0915 社団法人NS人財創造機構を設立。企業・団体の広報・宣伝、販売に関するコンサルティングなどを行う。