■新中期経営計画で営業利益率10%目指す
--スマートフォン(高機能携帯電話)の普及でデジタルカメラの販売が苦戦している。
「(コンパクトデジカメの)低価格モデルへの影響は大きい。ただ、いい写真を撮ろうという人はスマホですべて済ませるわけではない。『Xシリーズ』のように、デザインも画質も優れた高級モデルに注力していく。市場が伸びているミラーレス一眼のほか、コンパクトでも高倍率ズームのモデルや防水対応のモデルに力を入れる。デジカメを担当する事業部とレンズなどの事業部を統合させて、合理化し、シナジーを出す。販売台数は減っても、金額はある程度を維持できる」
--医薬品などヘルスケア事業の売上高を2018年度に1兆円に引き上げる目標を掲げている
「(各国の)承認がいつになるかにもよるが、期待できるがんの新薬があるし、これまでと全く違うインフルエンザ治療薬や、アルツハイマー型認知症治療薬も準備している。内視鏡のシェアも高まっているほか、超音波診断装置でも米企業を買収し、携帯用に注力している」
--16年度を最終年度とする新たな中期経営計画の方向性は
「新規市場を開拓し、新興国の需要を掘り起こしていく。売上高目標については、世界経済は名目3%程度の成長が見込まれる。それに数%上乗せした伸びを目指すことになるだろう。営業利益率は10%ぐらいまで上げていきたい」
--安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」を背景に日本経済は回復傾向にある
「ここ数年は異常な円高で、国内で製造業が成立しなくなる状況だった。政治の無為無策で放置されていた。『なんとかしてください』と(安倍氏本人にも)言ったが、安倍氏が首相になって、デフレ脱却を目標に掲げ、(金融政策などで)行き過ぎた円高が是正されてきた。今の方向性をぜひ進めてほしい」
--政府への注文は
「エネルギーコストが高い。原発の稼働停止で電気料金が上がり、ガス価格も米国の数倍だ。貿易収支の赤字の原因にもなっている。われわれも工場によってはエネルギーコストが人件費と変わらないぐらいだ。エネルギー政策は(企業が)競争力を保てる内容にしてほしい。法人税引き下げも検討してもらいたい。農業は改革して保護産業から成長産業にしないといけない。競争力がつけば、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)も問題なく入れると思う」(田村龍彦)
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【プロフィル】古森重隆
こもり・しげたか 東大経卒。1963年富士写真フイルム(現富士フイルムホールディングス)入社。96年富士フイルムヨーロッパ社長。2000年社長。12年6月から現職。長崎県出身。