ニュースカテゴリ:企業
サービス
増える列車と鹿の衝突事故 JR東海の緩和装置が巻き込み防止に効果
更新
実験のために装着された鹿の衝突緩和装置。JR東海は新しく導入する列車にも整備する方針だ 山間部を走る列車と鹿との衝突事故が相次いでいることに対応し、JR東海が開発した衝突緩和装置が効果を上げている。在来線の特急列車に装着し、約1年半の“実証実験”をした結果、鹿の巻き込み事故が減少し、列車の平均遅延時間が短縮されるなどの効果を確認した。他の対策に比べてコストや効果が優れているため、平成26年度から導入する新たな普通列車にも装着することを決めた。
列車と鹿が衝突すると、列車が鹿を巻き込んで破損したり、ダイヤが乱れたりすることに加え、現場の処理などに作業員を派遣する必要があり、費用を含めた負担は大きい。
装置は動物愛護の観点から、鹿に致命傷を与えずに路線の外に押しのけることを目標に開発した。
スポンジゴム製で、先頭車両に装着。装置の上部が柔らかく、下部が硬い2層構造にすることで、衝突の際、鹿への致命傷を防ぐとともに、車両下部への巻き込みを防止できる。
当初は自動車のエアバッグのような装置をめざしたが、機構や耐久性、コストなどに問題があり、今回の装置になった。衝突緩和効果はエアバッグ並みという。
鹿との衝突事故は年々増加。24年度の衝突件数は635件と、データを取り始めた17年度の271件から大幅に増加した。
特に三重県と和歌山県を走る紀勢線で多発しており、24年度で269件。今年度は昨年11月末までに480件(うち紀勢線219件)発生している。
実験のため一昨年夏、装置を同線の特急列車に装着した。昨年11月までの約1年半の衝突件数は140件(装着列車75件、非装着列車65件)で、鹿を線路外に押しのける効果があったのは、装着列車が85・3%と、非装着列車の72・3%を上回った。
また、衝突事故による平均遅延時間は装着列車では約15分と、非装着列車より約20%短縮できた。実験期間中、30分以上の大幅な遅延が発生した件数は、装着列車で1件、非装着列車では6件だった。
特急列車6編成に装着しており、製作費用は合計で約2500万円。効果が顕著だったため、今回の装置を改良し、26年度から新たに投入する計画の普通列車(ディーゼル車)26編成にも順次搭載する計画だ。
鹿との衝突防止に向け、同社はこれまでに約2億2千万円をかけて、衝突が多い路線に総延長24キロの柵を設けたり、鹿が嫌うライオンなど猛獣のフンや尿を線路にまいたりしてきたが、いずれも目立った効果はなかったという。