--2014年の世界経済をどうみるか
「世界経済は総じて、昨年よりも回復に向かっていくと予想している。世界経済の牽引(けんいん)役である米国経済の行方が、量的金融緩和の縮小などで、どの程度影響を受けるかが鍵になるが、『ものづくり』の復活を遂げた米経済は底堅いとみている。今年はソチ冬季五輪なども開かれ、2020年の東京五輪の前哨戦として、デジタル家電の販売など経済への波及効果などが注目される。これまで、当社は一連の構造改革を進めてきたが、一定の成果が見られたところで、今年は成長戦略へとかじを切り替えるつもりだ」
--どの分野の電子部品に注力するのか
「重点戦略分野としては、ICT(情報通信技術)、車載、産業機器の3分野に狙いを定める。インダクタ(信号を整えたり電圧を安定させる働きをする受動部品)やトランス(変圧器)をはじめ、アクチュエータ(駆動装置)などにこれまで蓄積した素材技術を駆使する。表面弾性波(SAW)フィルターでは、他の製品で培った技術を応用するなど、競争力のある製品を投入していく。また、エネルギー・インフラや医療・メディカル分野専門チームの編成を検討するなど、事業拡大に力を入れていきたい」
--電子部品の市場動向は
「スマートフォン(高機能携帯電話)分野の電子部品が引き続き牽引役となる。スマホは先進国では成熟化し、伸びが鈍化する可能性もあるが、新興国などではまだ伸びる。基地局などのインフラが整えば、バッテリーなどの需要が高まるだろう。また、ハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)の普及が進み、車載分野も着実に伸びるとみている」
--スマホはこの先どうなるのか
「世界市場で、スマホは高級品と普及品の二極化が進むだろう。その結果、コモディティ(汎用(はんよう))化すれば、電子部品もパソコンのようにモジュール(ひとまとまりの機能を持った部品)化する。当社は、高機能を持ったハイエンドのスマホ向け部品の開発を強化する一方、半導体メーカーに働きかけ、モジュール化の技術も磨いていきたい。さらに、スマホの次に来るといわれているウエアラブル(身につける)端末などの新技術に対しても、必要な電子部品を開発するなど着々と手を打っている」(小島清利)
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【プロフィル】上釜健宏
かみがま・たけひろ 1981年東京電気化学工業(現TDK)入社。2001年記録デバイス事業本部技術戦略部長、02年執行役員、04年取締役専務執行役員などを経て、06年から現職。鹿児島県出身。