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ファイバーレーザ切断機で高速切断、ランニングコスト低減
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ファイバーレーザ切断機を導入したレーザマックス・小野雅夫専務は、CO2レーザ切断機に比べての優位性を述べる □板金機械 現場レポート シリーズ
□レーザマックス・名古屋工場×大陽日酸ガス&ウェルディング×ヤマザキマザック
日本の板金業界でいま、先駆的にファイバーレーザ切断機を導入する企業が表れ始めている。これまでの主流だったCO2レーザ切断機に比べ加工速度が速く、電気代などのランニングコストも大幅に低減でき、メンテナンスの手間もほとんどかからないのが特徴だ。岡山市に本社を持つレーザマックスはこのほど、名古屋工場の開設に際しヤマザキマザック製ファイバーレーザ切断機を導入した。販売およびシステムアップを手掛けたのは、産業ガスメーカー大手・大陽日酸のグループ会社で産業資材商社の大陽日酸ガス&ウェルディング。
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◆生産性アップで受注増
(株)レーザマックス(本社=岡山市、(電)086・244・1994)は、板金・製缶・機械組立てなどを主業とし、鋼板加工全般(切断、曲げ、溶接など)を手掛ける。同社は岡山本社工場、大阪工場、現地事業会社である(株)レーザマックス北海道、(株)レーザマックス九州に続く加工拠点として名古屋工場(愛知県春日井市、(電)0568・31・4103)をこのほど開設。そこにヤマザキマザック製ファイバーレーザ切断機「OPTIPLEX 3015 FiberII」(レーザ出力4キロワット)を導入した。
同切断機は、CO2レーザ切断機で同じ材質・板厚の素材を同条件で加工した場合に比べ、消費電力を2キロワット機で約38%、4キロワット機で約42%低減できる(メーカー調べ)。また、CO2レーザ切断機と違いレーザ発振ガスも不要で、そのコストがかからない。
また、CO2レーザ切断機と比べ加工速度も速い。メーカー調べで、軟鋼・板厚1ミリを4キロワット機(※アシストガスに酸素)で切断した場合、CO2レーザ切断機の同パワー機と比較して約1.4倍。ステンレス・板厚0.8ミリ(窒素使用)の場合、約4.9倍。アルミ・板厚4ミリ(同)の場合、約2.6倍。その上、加工品位、つまり切断面の美麗さも、CO2レーザ切断機と同等のクオリティ。加工精度も、レーザ光をファイバーで伝送する方式なので、CO2レーザ切断機よりも精緻な精密加工を可能とした。
さらに、CO2レーザ切断機では加工が難しい銅、真鍮、アルミなどの高反射材も高品位に加工できるのが特徴だ。
レーザマックス・小野雅夫専務は、ファイバーレーザ切断機を導入した効果について、「時間あたりの加工量が増え、ロット数の大きい案件では同業他社に比べ優位性を発揮でき、受注増につながっている。しかも、加工コストも大幅に低減でき、メリットは多い」と述べる。
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◆高純度99.999%の窒素で高品位加工
レーザマックス・名古屋工場にファイバーレーザ切断機を納入し、ヤマザキマザックと共に設備構築を手掛けたのが、産業ガスメーカー大手・大陽日酸のグループ会社で、産業資材商社の大陽日酸ガス&ウェルディング(株)(本社=大阪市、(電)06・6541・9355)。
同社は、産業ガスメーカーのグループ会社である強みを生かし、レーザ加工用のアシストガスとして窒素を連続供給するPSAも同時に設置した。「レーザ加工機専用」を謳った大陽日酸製「LTシリーズ」である。高純度99.999%(ファイブ・ナイン)の窒素を発生させる。
窒素ガス発生装置、空気圧縮機、昇圧機、窒素タンクで構成されており、精製装置を使用せずに高純度ガスを発生できるのが特徴で、精製用の水素ガスを必要としない。
同PSAを使ってのステンレスに対する無酸化切断の加工品位について、レーザマックス・小野専務は、「社内の評価試験では、純度99.99%の窒素で同じ板厚の素材を加工した時に比べワークノッチがさらに少なく、より平滑で光沢のある切断面が実現できた。装置も従来型の窒素PSAよりも小型で、省スペース化と省電力化にも役立っている。本来ならLGC容器を1日に3本は必要だったと想定されるが、その心配もなくなった」と語る。
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◆新型プレスブレーキを競争力ある価格で販売
今回の名古屋工場の設立に際し、レーザマックスは同所において記念式典を開催。関係者約100人が出席した。同時に会場では、ファイバーレーザ切断機のデモンストレーションをはじめ、大陽日酸ガス&ウェルディングが取り扱う各種商材の展示・実演も行われた。
その中で、新商材として紹介されたのがMERUGA社製プレスブレーキ「MGシリーズ」。この名古屋工場と、レーザマックス九州はすでに導入。MERUGA社は中国に本社がある板金機械メーカーで、同国や欧米市場で豊富な販売実績を持つ。
同シリーズの特徴は、(1)競争力のある製品価格 (2)安全な罫書き線曲げ機能 (3)フットスイッチを標準装備で長時間作業でも疲れない (4)下部テーブル停止位置をNC制御 (5)3ポイント突き当てバックケージ (6)バックケージ突き当て移動位置スイッチ搭載 (7)金型交換スイッチ搭載 (8)フロントR曲げもプログラムで簡単に加工 (9)3種類の金型併用のQMクランプを標準装備-など。
また、台湾に本社がある板金機械メーカー・OTC社の精密曲げ加工機も展示。こちらの機械も、レーザマックス・名古屋工場とレーザマックス九州が導入している。
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◆デジタル溶接機による低スパッタ加工を実現
さらに、ベンダー用ソフトとして、米国のオービット・テクノロジー社製「CAL」も紹介。同ソフトは、曲げ角度と寸法に必要な2つのデータを同時かつ瞬時に算出することができ、従来的な目標角度のみの予測値ではないのが特徴。Windows搭載のパソコンかタブレット型PCがあれば、画面のないベンダーでも画像を見ながらの作業が可能となり、旧式のベンダーが最新のベンダーのように使える。
この他、大陽日酸ガス&ウェルディングの主力商材は溶接関連機材。パナソニック溶接システム製のデジタル溶接機によるスパッタのほとんど発生しない溶接や、日本ウエルディング製ハンドペン型レーザ精密溶接機の実演、ドイツのSiegmund社製溶接定盤の展示などもあった。
記念式典には、レーザマックスおよびグループ会社の幹部、付き合いの深い同業他社の幹部、大陽日酸ガス&ウェルディング、ヤマザキマザック、パナソニック溶接システムなど取り引きのある商社や機械メーカーの経営幹部も多数出席、それぞれ祝辞を述べた。