--福島第1原子力発電所の事故直後、液化天然ガス(LNG)輸入が急増した
「調達価格が高騰しては困るので、マーケットを刺激しないように買おうとした。2011年3月の事故直後はまず、当社と同じ売り主からLNGを調達している国内の電力・ガス各社にスワップ(交換)をお願いした」
--スワップとは
「11年秋以降に日本に入ってくる当社発注のLNGと、3~4月に入ってくる他の電力・ガス会社のLNGを交換してもらった。そうすれば、新たに購入するわけではないので、価格を高騰させることはなかった。国内だけでなく、台湾、韓国のエネルギー会社もスワップに応じてくれた」
--東電のスポット調達が増え、LNG価格が跳ね上がったという噂も出た
「そんなことは全くなかった。こちらの必要量を正直に売り主に伝えると、マーケットが過剰反応してしまうので『どれぐらい調達できますか』と手の内を明かさないように探りを入れながら、静かに買い進めた」
--なぜ市場の動きに気を配ったのか
「当社の動きで価格が高騰してしまうと調達しにくくなり、市場はパニックになる。市場は需給よりも、心理的要因で動くからだ。『焦らず、騒がず』が大事だ」
--とはいえ、調査会社の米プラッツによると、東日本大震災前日の11年3月10日に9.4ドル(100万英国熱量単位当たり)だった日本・韓国向けスポット価格は、今月には19ドルを突破した
「価格が急上昇したのは、日本の原発が次々と停止して以降だ。当社の燃料費は10年度の約1兆4800億円から12年度は約2兆7900億円に跳ね上がった。低価格のシェールガスなどの軽質LNGを増やすなどして対応する」
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【プロフィル】小泉俊彰
こいずみ・としあき 東大法卒。1981年東京電力入社。東京支店上野支社長などを経て、2013年4月から現職。東京都出身。