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【ハザードマップ】静岡緑茶工房、アドム卸販社

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【ハザードマップ】静岡緑茶工房、アドム卸販社

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 ■風評被害や消費低迷で収益悪化

 ▼静岡緑茶工房 製茶業の静岡緑茶工房(静岡県牧之原市)は2013年12月に事業を停止し、静岡地裁で破産手続きの開始決定を受けた。負債総額は債権者52人に対し約4億円。

 設立は2000年8月と歴史は浅く、地域では後発の製茶業者だったが、地元の茶問屋や個人を対象にした通信販売に加え、ドリンク向けの茶の販売も行い、04年8月期には約3億5000万円の売上高を確保していた。業績の一層の向上を図るため、05年7月には約2億円を投じて本社工場を整備した。

 しかし、急須を使って味わうリーフ(茶葉)茶の消費者離れが進み、販売先の廃業もあって売り上げは徐々に減少。さらに11年3月に発生した東京電力福島第1原発事故に絡む風評被害がダメージとなり、その後も風評の影響を払拭できない状況が続いていた。

 12年には社長が入院したこともあって営業力が低下し、13年8月期の売上高は約2億7000万円にとどまった。利益率の高いリーフ茶の売れ行きが特に低下したことから、約8000万円の赤字を計上した。その結果、借入金は年間売上高を超えるまでに膨張。後継者がいないこともあり、事業継続は困難と判断した。

 ▼アドム卸販社 業務用食材・飲料卸業のアドム卸販社(大阪市城東区)は13年12月に事業を停止、14年1月に大阪地裁で破産手続きの開始決定を受けた。負債総額は約1億円と見込まれている。

 1934年に「緑屋商店」として創業。冷凍・冷蔵・チルド食品や調味料、缶詰、酒類などを扱い、大阪府を中心に近隣府県のレストランや飲食店などにも販路を拡大し、ピーク時の97年9月期の売上高は約12億8000万円にのぼった。

 しかし、同業他社との競争が激しさを増すとともに、長引く消費低迷の影響で既存の得意先が廃業に追い込まれたこともあって、取引先が減少。収益の悪化に歯止めがかからず、2011年9月期の売上高は約6億5000万円とピーク時のほぼ半分にまで落ち込んだ。

 採算を維持するのが精いっぱいの状況だったところへ、一部の仕入れ先が債権の保全・回収に備えた債権譲渡登記を設定。資金繰りも限界に達したことから事業の継続を断念し、破産に追い込まれた。(東京商工リサーチ)

                    ◇

【会社概要】静岡緑茶工房(2013年12月上旬現在)

 ▽本社=静岡県牧之原市

 ▽設立=2000年8月

 ▽資本金=1000万円

 ▽事業内容=製茶

 ▽負債総額=約4億円

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【会社概要】アドム卸販社(13年12月上旬現在)

 ▽本社=大阪市城東区

 ▽設立=1960年12月

 ▽資本金=1200万円

 ▽従業員=12人

 ▽事業内容=冷凍・冷蔵・チルド食品や調味料、缶詰、酒類など業務用食材・飲料卸

 ▽負債総額=推定約1億円

                   ◇

 〈チェックポイント〉

 静岡緑茶工房は後発ながらも販路を開拓し、順調なスタートを切った。しかし、設備投資を行った矢先に風向きが大きく変わった。消費者志向の変化や販売先の廃業、原発事故の風評被害、さらに社長の入院と悪いことが重なった。ただ、この間、新規先の開拓や後継者の育成に目を向けていたのだろうか。

 アドム卸販社は老舗の食品卸業者。長年の業歴から多岐にわたる商品を扱い、営業地盤も広範囲に及んでいた。しかし、競争激化や取引先の廃業などで近年の業績はじり貧となり、資金繰りも逼迫(ひっぱく)した。この間、根本的な立て直し策に取り組んでいれば、会社の行方は違ったものになっていたかもしれない。(東京商工リサーチ取締役情報本部長 友田信男)

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