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【消費増税 5%→8%】(下)流通、メーカー 市場の変化に挑む

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【消費増税 5%→8%】(下)流通、メーカー 市場の変化に挑む

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そごう・西武が大手百貨店として初めて参入したSPAによるブランド「アベックモード」の売り場=東京都豊島区の西武池袋本店  ■節約、高付加価値 両にらみ

 安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」によって景気が回復し、個人消費では趣味やこだわりの商品への出費は惜しまない動きもあり、デフレ脱却を後押しする。しかし、4月の消費税率引き上げは、長年のデフレに慣れてしまった消費者の節約志向を再び強める懸念もある。流通やメーカーは二極化する消費への対応を迫られると同時に、これをチャンスにしようという動きも出てきた。

 「ようやく間に合わせることができる」

 首都マニラから車で約1時間の工業団地に、稼働を始めたばかりのバンダイのフィリピン工場がある。ここで昨年のクリスマスを迎えたカプセル玩具事業の責任者、岡田圭介執行役員はアニメキャラクターのフィギュアの仕上がりに安堵(あんど)した。

 バンダイは4月の増税に合わせて、カプセル玩具の商品構成を見直す。500円などの高価格帯は、これまでのカプセル玩具の常識を覆す円筒型カプセルを新規に投入。フィギュアの自由度や精緻さを高める。一方、100円、200円の低価格帯は、人件費が高騰した中国からフィリピンの新工場への移管を進めて、コスト削減を図る。

 人手が必要な彩色は経験不足からうまくいかず、日本から派遣された3人の技術者の滞在期間は予定の1.5倍に延びた。それだけ現地従業員の技術力が高まったわけで、今後は「さらにコスト削減が可能。二極化に対応し、攻めていける」と岡田執行役員は手応えを感じる。

 ◆製造小売りに着目

 百貨店も増税を機に、商品企画や販売のスタイルを変えようとしている。製造から販売までを自社で手がけるSPA(製造小売り)に着目したのが、そごう・西武。2月19日には西武池袋本店(東京都豊島区)に50代向けブランド「アベックモード」の売り場を立ち上げた。SPAは「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングなどがいち早く取り入れて顧客を囲い込んだが、大手百貨店による本格的なSPAとして注目される。

 自社でデザイナーや工程管理の担当者など5人を採用し、中間コストを省くことで価格をメーカー品より3~4割安くできるうえ、新商品の投入サイクルを2週間程度に短縮。自社企画・製造のため、店頭での消費者の反応をみながら価格や商品構成を柔軟に変更できるのも強みだ。「(増税で)一時的に消費が落ち込んでも、新しい商品を見ると『ほしい』気持ちを我慢できない」(堤真理自主商品部長)という消費者の購買意欲を刺激する。

 ◆PBも二極化戦略

 「メーカーの商品について、ある程度絞ってくるカテゴリーも出てくる」

 イオンの横尾博専務執行役はプライベートブランド(PB)「トップバリュ」の比率をさらに高める考えを示した。PBの半数以上で本体価格を引き下げるほか、低価格帯の商品群も充実させる。

 一方、低価格を武器に存在感を強めてきたPBを高価格商品でも拡充。品目数を2014年度中に現在の300から450~500に増やす計画だ。「消費がネガティブになるところに、イオンへ行ったらおもしろいと言ってもらえる商品群をそろえ、シェアを取る」(横尾氏)作戦だ。

 「金の食パン」のヒットなど高価格帯PB「セブンゴールド」を強化しているセブン&アイ・ホールディングスも、各カテゴリーのトップメーカーとの連携を強化し高付加価値商品の品ぞろえを拡充。ユニーグループ・ホールディングスは、緑茶など購入頻度の高い15~20品目で高価格帯PBを新たに投入する。

 デフレ環境下で低価格品の開発を強化してきたメーカーにとって、「PBでメーカー品よりも高額な商品が発売されヒットしていることは頭を殴られたような衝撃」(大手ビール幹部)だ。

 「高付加価値・高価格なのか節約志向の低価格なのか」。増税が消費の二極化をもたらす中、落ち込む消費への対応だけでなく、流通やメーカーは市場の変化への対応を事業戦略に据えて対応しようとしている。

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 この企画は山沢義徳、松岡朋枝、平尾孝が担当しました。

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