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中小企業の優れた技術を大手メーカーに発信 

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中小企業の優れた技術を大手メーカーに発信 

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 ■Webマッチングサイト「ジェグテック」 中小機構が開設

 □中小企業基盤整備機構 販路支援部 参事 マッチング事業統括・林隆行氏に聞く

 中小企業基盤整備機構は、全国のものづくり中小企業を支援するため、優良な技術情報をWeb上で公開し大手メーカー、商社、海外企業へつなぐマッチングサービス「J-GoodTech(ジェグテック)」を開設する。Web上でのマッチングに加え、リアルで開催する展示会・商談会ともリンクさせることで効率を高める方針だ。中小機構の新施策について販路支援部参事の林隆行・マッチング事業統括に狙いと効果などを聞いた。

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 ■中小企業の販路開拓をより効率的に支援

 --Webによるマッチングサービス「J-GoodTech」開設の趣旨は

 「『J-GoodTech』の名称は説明するまでもないが、『日本の優れた技術・製品』という意味だ。サイト名の通り日本の中小企業には、優れた技術や製品が数多くある。いわば“宝の山”があるのだが、その技術・製品が埋もれてしまわないよう、インターネットを活用し優れた技術を必要とする大手メーカーなどへ紹介していくサイトだ。これまで中小機構は展示会や専門家による販路開拓支援を実施してきた。これに今回のWebマッチングサービスを連動させることで、国内外に向けた新たな販路開拓や他企業とのアライアンスをより一層、効率的に促進させていくことを目指している。こうした活動を通じて、日本の優れたものづくりを行う中小企業に新たな販路開拓のツールを提供していきたい。中小機構の中小企業支援策の一環であり、大手メーカーと連携することで産業界全体でのイノベーションに貢献していきたいと考えている」

 --「J-GoodTech」によるマッチングシステムの概要は

 「中小機構から買い手である大手メーカーなどにアプローチし、ニーズを確認しながらマッチングの提案を行う。大手メーカーは、『J-GoodTech』上で直接企業を検索するか、中小機構に企業紹介・マッチングを依頼。これを受け中小機構が紹介できる中小企業を絞り込み、該当する企業へ連絡・確認をとる。その後、『J-GoodTech』上や展示会、個別商談会などを通してマッチングが行われる。この際、中小機構の職員・専門家が情報提供、アドバイスなどを双方に行い、円滑にマッチングが行われるよう支援していく。中小企業側には買い手ニーズを踏まえた用途提案など、買い手側には中小企業の技術情報などを提供する。さらにマッチング後の買い手からの要望、質問などへの対応をフォローすることで商談の成約、技術提携・共同開発などに結びつけていく流れだ」

 ■優良中小企業3000社を中小機構がセレクト

 --技術情報を紹介するサイトは他にもあるが、「J-GoodTech」がもつ特徴、マッチングのポイントは

 「買い手のニーズを踏まえたマッチングができることだ。全国の優良なものづくり中小企業3000社を中小機構がセレクトし、買い手である大手メーカーなどが必要とするニッチトップやオンリーワン技術などを持つ優良企業に関する情報を発信していく。その上で買い手からのニーズや抱えている課題などの情報を優良中小企業に限定して発信ができること、これを受けた優良中小企業が課題解決に向けた提案ができるなど、買い手側にとっても売り手側にとってもメリットがある仕組みが最大の特徴といえる。Web上では複雑な操作をできる限り排除し、見やすく分かりやすい構成にしたほか、動画情報や絞込み検索など、随所に工夫した画面展開で分かりやすい閲覧ができる。オープン当初の言語は日本語と英語の2カ国語だが、今後、アジア各国の言語にも対応していく。多言語化を図ることで、新興国を含めた海外企業に向け、日本の中小企業の優れた技術を積極的に紹介していく方針だ」

 --中小機構はどのように中小企業をセレクトするのか

 「当面の目標を3000社とした。スタート時の4月は1000社だが2年以内に目標数を達成する。もちろん目標数はあくまでも当面であり、これで終わりではない。紹介できる優れた技術力がある中小企業を発掘して社数は増やしていく。セレクトするのは中小機構の職員と大手メーカーなどで豊富な経験を積んだ専門家だが、全国の地域本部を動員しベンチャー企業や小規模事業者も対象にして優秀な技術をピックアップしていく。対象とする業種は鋳造、鍛造、メッキ、熱処理などの加工技術、設備・装置メーカーなどが中心だ。中小企業版の“ミシュランガイド”になることを目指したいと思っている」

 --買い手側へのアプローチは

 「『J-GoodTechパートナー企業』への登録をしてもらう。すでに、輸送用機器、電気機器、機械、化学など世界規模の大企業が、パートナーとして登録している。これからサイトの認知度を上げていかなければならないが、その努力とともに個別に趣旨の理解を求める活動を精力的に行う。『J-GoodTech』に登録することで、大手企業には大きなメリットがあることを理解していただけるはず。これにより中小企業と相互利益を図ることができる。日本の産業界全体にとっても大きなメリットになるものと思っている」

 ■サイト開設は4月下旬

 --現在、開催しているリアルの展示会とは、どのような連携になるのか

 「Webとリアルな展示会が組み合わさることで、相乗効果を生み出すと思う。Webで買い手ニーズを知り情報を発信し、展示会までに双方で情報交換をすることで実際の場での商談がスムーズに行われるからだ。また、展示会で知った技術などをその場で終わらせることなくWeb上でフォローすることもできる。『J-GoodTech』は、これまで中小機構が実施してきた展示会・商談会をより密度の濃い場にすることができる。リアルの場とバーチャルの場が双方で補完しあう関係になると思っている」

 --「J-GoodTech」のサイト閲覧の方法は

 「『ジェグテック』で検索してもらうか、中小機構のホームページ(http://www.smrj.go.jp)上の『J-GoodTech』のバナーをクリックしてもらうだけ。一般公開情報として優良中小企業の基本情報を閲覧できる。会員はログインしてもらうことで詳細情報を見ることができる。一般公開情報は、会社プロフィール、代表者メッセージ、製品・技術情報、活用事例、用途提案、セールスポイントなどがある。会員限定情報では動画情報、業績、主要顧客、取引条件、問い合わせフォームなど、より詳細な情報を入れている。将来的には、このサイトに情報が掲載される中小企業は優良である、という認識が広がってほしいと思う。言い換えれば『J-GoodTech』は優良企業のブランド、ものづくり中小企業が目標とする市場となることを目指していきたいと考えている」

 --オープンまでの日程と告知などは

 「本格的なプロモーション活動はすでに開始している。3月10日にプレサイトをオープンした。動画も入れ日本語と英語の2カ国語対応だ。この活動を踏まえて4月下旬に『J-GoodTech』を正式にオープンさせる。5月には大阪で、秋には東京で『中小企業総合展』という展示会を開催するので、この会場内でも積極的なアピールを行っていく。日本の中小企業の社数は、残念ながら減少傾向が続いている。日本の産業の底力である中小企業が元気に活躍してもらえるよう支援するのが中小機構のミッション。そのためのツールとして『J-GoodTech』を活用していただきたいと思う」

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