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JT「分煙コンサル」がオフィスや店舗支援 喫煙空間をおしゃれに
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東京ベイ舞浜ホテルクラブリゾートが3階アトリウムロビーに設置した喫煙スペース「スモーキングラウンジ」。間口は狭く中は洞窟のような奥行きを感じる オフィスや飲食店などで分煙環境の整備が進んでいる。くつろげる喫煙空間をもつことで、企業では社員の気分転換や会話から新たなアイデアが生まれるとの認識が高まり、店舗では喫煙者も非喫煙者も集客できるからだ。分煙環境づくりへの関心が高まる中、日本たばこ産業(JT)はコンサルティング活動を通じ、たばこを吸う人も吸わない人も共存できる社会の実現に取り組んでいる。
「これほどおしゃれな喫煙場所は見たことがない。どこで吸えるかを聞いたお客さまも素通りするほど」。東京ベイ舞浜ホテルクラブリゾート(千葉県浦安市)を運営する東京ベイホテルズの飛沢茂宣社長は、自慢の喫煙空間をこう紹介する。
同ホテルは南フランスのリゾート地、ニースの街並みをイメージしたアトリウムロビーが印象的だが、その雰囲気にすっかりなじむ。外観だけでなく、中は狭い間口から細長い洞窟のようになっており、実際は狭いが広さを感じる。
ホテル利用者は家族連れが多く、たばこを吸う親も禁煙ルームに宿泊する。館内禁煙を喫煙者はわきまえているが、「たばこはダメではなく、両者が融合できる空間が館内に必要」(飛沢氏)と判断、JTの分煙コンサルタントに相談し、昨年4月に分煙環境を整備した。
分煙コンサルとしてかかわったたばこ事業本部社会環境推進部の石田頼弘課長は「吸わない人に迷惑をかけずに共存するためにはマナーを守り、喫煙場所をしっかり設けることだ」と分煙の必要性を説く。
2003年施行の健康増進法で、多くの人が集まる施設の管理者に受動喫煙防止措置が努力義務化。神奈川県では10年に受動喫煙防止条例が施行され、ホテルやレストランなどは禁煙、分煙への対応を義務づけられた。
個人経営の飲食店の中には、分煙環境の整備はコスト的に無理なので減収を覚悟の上で禁煙にしたり、対応できないと廃業を決めたりした店舗もあった。ある飲食チェーンの郊外店は、ファミリー層を狙って全席禁煙にしたが、思惑通りにいかず売り上げが落ち込んだ。改装して喫煙場所を設けることで客足を取り戻したという。オフィスでも、仕事の合間の喫煙によるリフレッシュ効果や、リラックスした雰囲気での会話が組織の活性化やアイデアを創出する場として有効とされる。
しかし「喫煙場所からたばこの臭いや煙が漏れて困っている」「どのように分煙すればいいか分からない」などの声は少なくない。飲食店の場合、提供される料理や店舗の雰囲気により求められる分煙方法は違う。
それに応えるのがJTの分煙コンサルで、04年の活動開始以降、年間約500件の相談に応じてきた。社会環境推進部の石井哲郎部長は「飲食店なら店のポリシーを聞き、培ってきたノウハウや知見を生かし最適な喫煙環境の整備に向けて手助けする」と説明。その上で「分煙とは、人は分けずに煙を分けること。吸う人も吸わない人も快適に共存できる」と強調する。
非喫煙者の多くは全面禁煙まで求めていないが、煙や臭いを迷惑と感じる人もいる。気流のコントロールや工夫をこらしたデザインで両者が快適に過ごせる環境をつくれても、非喫煙者への気配りやマナーがなければ喫煙者への風当たりは強まる。(松岡健夫)