SankeiBiz for mobile

スマホとPCはブラックボックス 手放せないけど「設定」は無理!

ニュースカテゴリ:企業の情報通信

スマホとPCはブラックボックス 手放せないけど「設定」は無理!

更新

高嶋哲夫さんが以前使っていたNECのワープロ「文豪ミニ」  みなさんは、「地球シミュレータ」「京(けい)」をご存じだろうか。

 それぞれある時期、世界最速を誇った、日本のスーパーコンピューターだ。

 気象予測、天文学、化学計算、物理シミュレーションなど、科学計算を行うために開発された。「京」は1秒間に10ペタフロップス=10の16乗、つまり1京(けい)回の計算ができる。

 僕の小説、『M8』『TSUNAMI』『東京大洪水』には「地球シミュレータ」が、『首都崩壊』には「京」が出て来る。

 主人公たちはそれぞれ、科学知識とコンピューター技術を駆使して、地震・津波のコンピューター・シミュレーションを行い、被害を最小限に食い止める。

 「京」は現在も神戸・ポートアイランドの理化学研究所で数々の最先端科学の計算を行っている。

 10年以上前に書いた、『イントゥルーダー』では、スーパーコンピューターの開発者が主人公だった。

 40年以上前になるが、修士論文の実験データ解析ではコンピューターを使った。

 大学卒業後、日本原子力研究所(現日本原子力研究開発機構)の研究員としてしばらく働いた。ここでは、JT-60という、当時では世界最大のトカマク型核融合実験装置の研究開発に携わった。

 僕は高温プラズマがライナーという壁に当たるときの熱計算をやった。当然、コンピューターを使った。自分でプログラムを書き、データを入力したのだ。当時は個人用のコンピューターなどなく、せっせと計算センターに通った。

 さて、専業作家となった現在。家と仕事場には、故障中も含めて7台のデスクトップとノートパソコンがある。他にも何台か持っていたが、人にあげてしまった。iPad(アイパッド)も発売と同時に買った。

 僕のスマホは2台目、iPhone(アイフォーン)4Sだ。1台目はiPhone3G。出たときから使っていた。会議や人と話している時も横にスマホがないと落ち着かない。メール、予定をチェックし、カメラにもボイスレコーダーにもメモ帳にもなる。

 僕は神戸に住んでいるが、毎週何日か、高齢の両親が住む故郷・岡山に通っている。岡山の実家は数年前、光回線に替えパソコンも用意している。東京に行くことも多い。どこに行くにもパソコンは手放せない。クラウドストレージを利用して、どこにいても、どのパソコンを使っても最新のファイルを呼び出して原稿を書いたり資料を調べることができる。

 こうした事実から、僕はコンピューターには断然強いと思われている。ただ、思われているのだ。

 たしかに、大学、研究所時代には自分でプログラムを書き、データを入力し計算をやっていた。ただし時代の変化、特に科学技術の進歩は日進月歩だ。

 「僕はスマホはもちろん、パソコンの設定もできません。正確に言うとやったことがありません」と言うと、人は怪訝(けげん)な顔をする。

 今や、僕にとってパソコンやスマートフォンはブラックボックスだ。しかし、これらデジタル機器がなくては仕事も生活もたちゆかない。まさに身体の一部になっている。

 「中身は知らなくても、使うことはできます」

 この言葉は真実だ。さあ、魔法のような話を始めよう。

【プロフィル】高嶋哲夫

 たかしま・てつお 昭和24年、岡山県出身。慶応義塾大工学部修士課程修了。日本原子力研究所(現日本原子力研究開発機構)の研究員を経てカリフォルニア大に留学。『メルトダウン』で小説現代推理新人賞。『イントゥルーダー』でサントリーミステリー大賞読者賞。

ランキング