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「アマゾンVSグーグル」すみ分け一転 領域侵攻…顧客囲い込み激化

ニュースカテゴリ:企業の情報通信

「アマゾンVSグーグル」すみ分け一転 領域侵攻…顧客囲い込み激化

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 米IT大手のアマゾン・コムとグーグルが製品開発やサービスで激しいつばぜり合いを演じている。それぞれ小売りと検索を本業にすみ分けてきた両社だが、競争激化で互いの事業領域に積極的に進出。顧客の囲い込みへ多角化が進む米IT業界の縮図ともなっている。

 「グーグルの『クロームキャスト』の3倍の処理能力がある。大量のコンテンツも用意した」。アマゾンのラーセン副社長が胸を張るのは、2日に米国で発売した「ファイアTV」。インターネット経由で配信された映像をテレビで再生する機器だ。

 別売りのコントローラーで数千ものゲームを楽しめるサービスも始める予定で、「クロームキャスト」など同種の機器で先行する他社製品を追撃する。米ITサイトのギズモードは「動作が速いのに驚いた。『スマート(賢い)テレビ』が実現した」と高評価を与えた。

 アマゾンとグーグルはクラウドでも激しくぶつかり合う。グーグルが企業向けのデータ保管などのサービスで最大85%もの値引きを先月発表すると、アマゾンも間髪入れず値下げで対抗。グーグルがクラウドに参入したのは2年前だが「市場は急成長しており、先行するアマゾンも盤石ではない」(関係者)と闘志をむき出しにする。

 アマゾンがテレビ機器に参入したのも、アマゾンの主力事業のオンライン通販のサービスの提供手段を、パソコンやタブレット型端末からテレビに広げる狙いがあるとの指摘もある。

 これまでは互いに遠慮もみられた本業でも、攻防が激化している。グーグルが検索連動型の広告収入が売り上げの大半を占めるのに対し、アマゾンの広告収入は1割未満だが、その比率は年々増加している。商品検索に連動した広告販売に力を入れているためだ。

 一方、グーグルもオンライン通販を強化している。サンフランシスコで試験的に行っている無料の即日配送サービスを、米メディアによると、ニューヨークなど他都市にも拡大することを検討している。

 今やIT各社の主戦場の携帯情報端末でも、アマゾンがタブレット「キンドル」の機能を電子書籍からどんどん広げれば、グーグルも自社開発のタブレット「ネクサス」を投入。スマートフォン(高機能携帯電話)向けOS(基本ソフト)「アンドロイド」で市場を席巻するグーグルだが、アマゾンも自社開発のスマホを年内にも発表するとの観測が出ている。

 フェイスブックやツイッターも本業のSNS(交流サイト)から、スマホ向けアプリや動画配信など事業領域をアメーバのように広げている。こうした新興勢力に対抗していく上でも、「相手が得意な市場でも、あえて食らいつく」(アナリスト)戦略がIT大手を突き動かしている。(ワシントン 柿内公輔)

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