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【栃木発 元気印】みやもと 3Dプリンター活用しフィギュア製作
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3Dプリンターで出力された作品の数々=宇都宮市のみやもと 宇都宮市の中心部にある宇都宮二荒山(ふたあらやま)神社は、威厳がありながら市民から「ふたらさん」の愛称で親しまれる。下野国の一宮(いちのみや)(最も格の高い神社)であり、それが宇都宮の語源とする説も根強い。その神社前にある市民憩いの場「バンバ市民広場」に面したビルの1階に今年1月、3D(3次元)プリンターを備えた「3Dメイカーズ・バンバスタジオ」がオープンした。
◆記念日用に需要拡大
複雑な形も立体化する3Dプリンターは、将来は教育や医療の分野での応用が期待される最先端技術の結晶だ。
スタジオを開設したのは、栃木県内で地元企業や商店向けに折り込みチラシなどの広告製作を手掛ける印刷会社「みやもと」。昨秋、米国製のフルカラー3Dプリンターを導入した。専用スキャナーで対象物を読み取ってデータ化し、プリンターで石膏(せっこう)粉末を0.1ミリの層にして積み重ね、立体的に造形していく。宮本誠社長は「まずは身近に感じてもらいたい」と話し、記念日向けの商品として人物のミニチュアフィギュアや建築用立体パース模型などを製作、販売する。
撮影、データ作成、3D出力で3万7800円~10万8000円。データを読み取るため専用スキャナーで全方向から撮影する。約15分間じっと静止していなければならない。身長160センチの人の場合、15分の1で11センチ、6分の1だと27センチの大きさになる。結婚、出産、七五三、会社の創立記念など、これまでにない記念撮影として需要が広がるかどうか注目される。
宮本社長は「写真はアルバムに収まって、見る機会は年に何回もない。3Dプリンターで作った人形は単体でも飾ることができ、手元に置いて、いつでも見られる」と手のひらサイズの分身に期待をかける。
◆セミナーで地域活性
宇都宮市の本社と栃木県鹿沼市の木工団地に印刷工場を持つ同社は、チラシ印刷が主な業務だ。ほかにもロゴマークやキャラクター作成など会社や店舗の宣伝につながるアイデアを提案し、広告全般に幅広く対応している。
3Dプリンター以外にも特殊な印刷に対応するUV印刷機をいち早く導入。紫外線でインクを瞬間的に硬化させ、フィルムや金属表面にも対応できる印刷機で、缶バッジやシールなど紙以外の広告も生み出す。
また、月1回開催の無料講演会「やさしい集客セミナー」と題した講演会は50回を超えた。社内勉強会から発展させたもので、地元企業や商店の繁盛によって地域活性化を図る狙いがある。
「リーマン・ショック後、企業の広告費は削減され、折り込みチラシの需要は落ち続けた。状況をどう打開するか考えたとき、設備投資をする時期でもない」(宮本社長)と印刷やデザイン、広告について見直すことから始まり、2年目からは地域の経営者を応援しようと考えを切り替えた。
チラシ印刷だけでなく、そのデザイン考案や企画も請け負い、イベントについてのノウハウも生かした。顧客を通した人脈も活用し、簡単なマーケティング理論から、おもてなし講座や財務、手書きチラシの作り方など、開催してきたセミナーの内容は多彩だ。
「客を呼ぼう」という目的は会社がもうかるだけでなく、地域をにぎやかにして、活性化にもつながっている。(水野拓昌)
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【会社概要】みやもと
▽本社=宇都宮市中戸祭1-4-5((電)028・622・5156)
▽設立=1972年6月
▽資本金=1800万円
▽売上高=8億円(2013年9月期)
▽従業員=45人
▽事業内容=広告・印刷業
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≪インタビュー≫
□宮本誠社長
■チラシで実績、紙以外の印刷も挑戦
--3Dプリンター導入で注目されている
「3Dのフィギュアは立体的記念写真と思ってもらえばいい。『そっくり』という言い方をされるが、その人を撮影したのだから当然。写真で『本人に似ている』とかいう言い方はしない。印刷技術は3Dに通用することが多く、画像処理や色の調整など長年、チラシ作りで培ってきたものが生きた」
「やってみて分かったが大手はフィギュア作りはやらないのでは。実は手作業が多い。全方位から撮影、計測したデータで作るが、微妙なずれの修正や表情を本人らしくするにはコンピューターで丁寧に直さないといけない。メークでくっきりと見える顔が、実測すると見た目より凹凸がなく、どちらが本人らしいか、という場合もある。立体化した後もやすりで表面を仕上げて滑らかさを出している」
--将来の展望は
「市場はこれから。普及が進み、値段が下がる第2、第3世代になると広がりも出てくる。10人くらいの企業なら10周年で社員全員の人形を作ろうとか退職記念やペット、子供、ブライダルなどでの需要もある。イラストやCGの建築パースを立体模型にして住宅メーカーが顧客に説明する選択肢もある」
--これまでチラシ作りで実績を挙げてきた。理念は
「スピード感を大切にしている。印刷機はB3判用だけ。B2判用はないが、受注したらB2印刷機を持っている会社に頼めばいい。それより小回りを利かせ、小ロット多品種に重点を置く。UV印刷機も他社に先駆けて導入した。紫外線照射による速乾性がありフィルム、プラスチックなど紙以外の印刷もできる。最先端のものを取り入れている。自分がファミコン世代で新しいもの好きというのもあるかも。バブルも経験したし、パソコンにも抵抗感がない。われわれより若い世代は意外と堅実で冒険しない。だから、自分たちがやらなきゃ誰がやると、勢いで進んでしまう場合もある」
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【プロフィル】宮本誠
みやもと・まこと 武蔵野美術学園卒。1991年に入社、2000年から現職。45歳。栃木県出身。
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≪イチ押し!≫
■「活版名刺」人引きつけるレトロ感
いまの印刷機では出せない独特の風合いを持つ「活版名刺」。このレトロ感が若者さえも引きつけている。
最先端のフルカラー3Dプリンターを導入し、インターネットのサイトも充実、宮本誠社長も自らデジタル世代という、みやもとだが、活版印刷による名刺も扱っている。小型の活版印刷機はさび付いていたものを他社から譲り受け、再生した。約60年前の電気を使わない手動式の機械で、職人が一枚一枚印刷する。
できあがった名刺は、表面を指でなぞると凹凸があるのが分かる。片面1色で100枚、8640円。
宮本社長は全国の印刷会社で組織する「日本グラフィックサービス工業会」栃木支部の若手メンバーで構成する「グリーンプレス」の代表を務め、古き良き印刷技術の伝承にも努めている。