ニュースカテゴリ:企業
中小企業
【ステップアップ】サイバーダイン 「ロボットスーツHAL」
更新
「ロボットスーツHAL」を披露する山海嘉之社長(左) ■医療・介護ロボ 欧米展開へ準備
医療・介護福祉用ロボットの開発・製造・販売を手掛けるサイバーダインは、欧米を中心としたグローバル事業を強化する。具体的には、米国では医療器具の安全性を保証する米食品医薬品局(FDA)申請の準備に着手。欧州では今後の需要増を見通して、保険適用を早期に実現させて普及を図る。日米欧は医療機器市場で約80%を占める最重要地域。2015年3月期は前年見通し比3~4倍の14億~18億円の売り上げを見込み、黒字化を目指す。
「ロボットスーツHAL(ハル)」は、事故や病気などで下肢が不自由になった人の動作を改善・補助する世界初のサイボーグ型ロボット。人は動こうとするとき、自分の意思を脳から微弱な電気信号として筋肉に伝える。HALは皮膚の表面に取り付けたセンサーで電気信号を検出して解析し、動作をアシストするしくみ。
同社は筑波大学大学院教授の山海嘉之社長が04年6月に設立した。医療分野としては、13年7月にEU(欧州連合)域内で医療機器認証を取得し、輸出をしている。今後、欧米各地に販売修理、トレーニング施設などの拠点を設置する。高齢化が進み医療費削減策として医療ITの導入に関心が高い欧州では、ドイツで公的労災保険の適用対象となった。
医療用として治験・臨床試験用を含めて39台(13年12月末時点)が国内外で稼働。国内では福祉用として展開し、病院や福祉施設など163施設で運用され、361台(13年12月末時点)が運用されている。
13年9月には利用者に対するトレーニングサービスを提供する鈴鹿ロボケアセンターを開業した後、湘南、大分と相次いで設置している。
山海社長は「科学技術は人や社会の役に立ってこそ意味があるということを理念としてきた。医療、福祉のほか、産業用など人を支援する分野全般に用途を広げたい」と話している。
日本は世界トップクラスの高齢化が進行し、介護者の不足もあって、医療・介護ロボットへの期待は高い。しかし普及は進んでいない。進まない要因としては、安全性確保の問題が挙げられる。医療・介護ロボットは人間と接触することが多く、万が一の事故によるけがなどが懸念されているためだ。
それでも介護保険制度の見直しが予定されている15年度には、国による普及のための方策が期待されている。矢野経済研究所によると、国内の介護ロボットの市場規模は15年度に23億円、20年度には349億8000万円に大幅に伸びると予測している。(佐竹一秀)
◇
【会社概要】サイバーダイン
▽本社=茨城県つくば市学園南D25街区1
▽設立=2004年6月
▽資本金=54億2800万円
▽従業員=97人
▽売上高=4億6900万円(2014年3月期予想)
▽事業内容=ロボット医療機器、生活支援ロボットの研究開発・製造・販売