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【家電Watch】眠気・目の疲れなど可視化 JINS
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電源ボタン ■3点式眼電位センサーを開発
「JINS」ブランドで眼鏡チェーンを運営するジェイアイエヌは、眠気や疲れなどを検知できる「センシング・アイウェア JINS MEME(ジンズ・ミーム)」を2015年春に発売する。現時点で価格は未定。だが、田中仁社長は「JINSの商品なので、手が届かない価格設定にすることはない」としている。
眼電位センサー、加速度、角速度(ジャイロ)センサーなどを搭載した眼鏡タイプのアイウェア。人間の五感の約9割を占めるという目の動きに着目し、「疲れ」や「眠気」などの情報を可視化、管理できるという。
◆スマホアプリと連携
ジンズ・ミームでは、人の眼球運動に伴う目の周りの電位差を検出。人の眼球は、角膜側が正の、網膜側が負の電荷を帯びており、その電位差を眼電位という。これを検知することにより、8方向の視線移動とまばたきをリアルタイムで測定することができる。同社ではこれらのデータが人間個人の深い所から得られる精度の高いデータ「Deep Data(ディープ・データ)」とする。
これまでも、視線移動を検知する「アイ・トラッキング」技術や、眼電位測定技術などは存在したが、バッテリー消費が大きかったり、特別な装置が必要だったりと、リアルタイムで、常時計測することは難しかった。同社では、東北大学加齢医学研究室の川島隆太教授をはじめとした各研究施設と共同で研究を進めることで独自の「3点式眼電位センサー」を開発。眼鏡の鼻パッドと、眉間に接する部分から検出される眼電位からディープ・データを検出できるという。
田中社長は、ジンズ・ミームとスマートフォン(高機能携帯電話)のアプリを組み合わせることで、さまざまな可能性が広がるとし、具体的な活用方法として、オフィス、ドライブ、フィットネスの3つを挙げる。
オフィスシーンでは、目の動きから、疲れや集中度を割り出し、独自の疲労指数「me(Mental Energy)」で可視化。「疲労をマネジメントできる」(田中仁社長)という。
ドライブシーンでは、眠気を検知。人の目は眠気が増すと、特有の動きをするが、ジンズ・ミームでは、その点を生かして独自のアルゴリズムを構築。ドライバーの眠気の兆候を事前に察知し、警告する機能の構築を目指す。
フィットネスシーンでは、歩数カウントや活動量のほか、ランニングや歩行中の体の傾きやブレをリアルタイムで把握できる。頭部の動きは、他の体の部位に比べ、重心や体軸などの動きを反映しやすいため、腕などに装着するリストバンド型のセンシングデバイスよりも正確なデータを得ることができるという。
◆さらに広がる可能性
田中社長は、ジンズ・ミームについて「想像のはるか先をいく製品。これまでのアイウェアは外を見るために使われていたが、ジンズ・ミームでは内面を見ることができる。疲れや眠気を検知することは社会貢献にも大きくつながる」と話す。また、ジンズ・ミームのAPIは全て公開され、開発者用キットの提供も行う。これは、オープンソースにすることで、ジンズ・ミームのさらなる可能性を広げるためで、現時点ではデンソーと共同でジンズ・ミームを使った運転サポートシステムの開発を進めているという。
アプリケーション開発環境はMacOS、ウィンドウズ、リナックス。通信環境はブルートゥース4.0smart。外部インターフェースはマイクロUSB。
ジンズ・ミームのデザインは、「アウディA6」などのデザインを担当した世界的デザイナー SWdesignの和田智氏が担当。「普通の眼鏡」としてのたたずまいを保ちながら、テクノロジーと機能性を融合させたデザインを目指した。現時点ではウェリントン、ハーフリム、サングラスの3種類をラインナップする。
本体重量は、約36グラム。充電できるリチウムイオン電池内蔵で、1時間の充電で連続使用時間は約8時間。本体装着の際は、3点の電極が肌にしっかりと触れるようにするほか、柄の部分に設けられている電極が肌に触れるようにする必要がある。本体には充電ケーブル、眼鏡拭き、眼鏡ケースが付属する。
ジンズ・ミームの共同研究にも参加する慶應義塾大学メディアデザイン研究科の稲見昌彦教授は、これまでのウエアラブル機器について「装着するコンピューターという世界観にとらわれすぎるあまり、20年前からほとんど進化していない。ウエアラブル機器というのは、機械が人によりそう『人機一体』であるべきだ。すでに社会に根付いている製品を使っているという意味でもジンズ・ミームは世界で唯一のウエアラブルであるといえる。生活の嗜好(しこう)や行動に大きなインパクトをもたらすだろう。このようなテクノロジーを持った製品が電気メーカーではなく、眼鏡ブランドのアプローチから生まれたことには本当に驚く」と話す。(インプレスウオッチ)