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カネボウ、美白化粧品回収から1年 「白斑」被害長期化で経営に影
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カネボウ化粧品の美白化粧品を使った人の肌がまだらに白くなる白斑問題で、同社が対象商品の自主回収に動き出してから4日で1年を迎えた。同社は当初、1年程度で症状が回復すると見込んでいたが、被害者約1万9千人のうち、ほぼ完治した7千人余りを除く約1万2千人にいまだ症状が残る。親会社の花王と抜本的な組織改革を行うなど信頼回復を急ぐが、長びく白斑問題は経営に影を落としている。(兼松康、西村利也)
カネボウは6月、症状が残る約1万2千人のうち、回復傾向の見られない約4千人に対し、裁判基準や労災基準に基づく後遺症の慰謝料相当の補償を支払うことを表明した。想定以上に症状が長引く人が多いことに対応し、前倒しで支払う方針に転換した。
カネボウは白斑被害者対策として、今年1月に専任者300人を抱える社長直轄組織「お客さま対応室」を新設。同社では前例のない規模の組織で、裏を返せばそれだけ白斑被害が根深い問題であることを物語る。
白斑問題が顕在化した昨年7月以降、花王は矢継ぎ早にカネボウとの事業一体化に踏み切り、品質保証部門と消費者相談窓口、研究と生産部門をそれぞれ統合した。将来的には販売部門の統合も視野に入れる。
問題発覚以降も強いブランド力を持つとされるカネボウだが、白斑問題によって業績にダメージが出ている。平成25年12月期の売上高は前期よりも約100億円減の約1800億円だったもようだ。顧客離れも一部で指摘され、美白化粧品も一部を除き販売を中止したままで、他社にシェアを奪われ続けている。
花王は美白化粧品の回収などで25年12月期に約121億円の損失を計上。今後、後遺症慰謝料の支払いだけで数十億~百数十億円が上積みされる可能性がある。
大和証券の広住勝朗シニアアナリストは「想定以上に問題が長期化するのは大きな懸念材料」と指摘。ただ、「後遺症の慰謝料を支払うなど補償問題を早期解決するための取り組みは、経営再スタートのための土壌作りとしては良い判断だ」と評価する。
花王の沢田道隆社長は、「カネボウとの一体化は予定通り進めている。(両社の)資産を最大活用し、特徴ある化粧品を世界展開していく」と強調するが、白斑問題を乗り越え、経営を“巡航速度”に戻すにはまだ時間がかかりそうだ。