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日本の“ATM御三家”海外展開加速 障壁は銀行文化の違い
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世界のATM-CDの出荷台数 現金自動預払機(ATM)メーカー御三家の日立オムロンターミナルソリューションズ(東京都品川区)、沖電気工業(OKI)、富士通フロンテックが海外市場に攻勢をかけている。伸び悩む国内市場に対し、海外は成長余地が大きい。日本製ATMが優れた機能を持っていることも強みだ。ただ、銀行文化の違いが障壁となり、開拓は一筋縄ではいかない。
「ATMの良さを世界で理解してもらうには、かなりの労力が必要だ」。OKIの安東信哉海外営業本部長はこう説明する。日本ではATMが銀行やコンビニエンスストアにあるのが普通だが、海外では出金専用の現金自動支払機(CD)が主流で、ATMの比率はわずか3~4割。預金する場合は、銀行の窓口を利用するケースが多い。
欧米では小切手が広く使われているほか、米国ではATMに入金する場合に封筒にお金を入れるなど各国の銀行文化はさまざま。これがATMの必要性を左右する。現場では慣行を変えたくないという圧力も働く。
2005年に中国に進出したOKIも「当初は銀行に門前払いされるのが当たり前だった」(安東本部長)。同社は地場銀行の幹部などに、日本で主流になっている「還流式」と呼ばれるATMを売り込んだ。入金した紙幣を出金でも利用できるため、紙幣がなくなる度に補充するCDに比べ管理コストが安く済むという大きな利点がある。
ところが、中国の銀行はなかなか採用しようとしない。入金の際にニセ札や汚れた紙幣が混入することをいやがるためだ。
突破口となったのが、08年の北京五輪。中国の銀行では預金に来た客を長時間並ばせるのが普通だったが、五輪開催を控えた中国当局は預金者の長蛇の列を海外にさらすのは好ましくないと判断。インターネット上で利用者からの批判が増えていたこともあり、この問題の解消に乗り出した。これを機に還流式ATMは一気に普及。中国全体の半分を占めるまでになった。
海外市場拡大に手応えを感じたOKIはインドやブラジル、東南アジアにも攻勢をかけている。今年に入り、ブラジルの金融大手イタウグループのATM事業を買収。海外売上高の比率を13年度の30%から16年度に40%に引き上げる計画だ。
日立オムロンターミナルソリューションズは50カ国以上に還流式ATMや関連装置を出荷するなど海外での実績が豊富だ。中国では同社のATMが10万台以上稼働。現在はインド市場の開拓に力を入れており、今後はミャンマーやフィリピン、ベトナムなどアジアの新興国で還流式ATMの販売を強化する。
一方、富士通フロンテックも12年ぶりに海外でATM販売を始めた。これまでATM内の装置を海外のメーカーに供給してきたが、国内市場の縮小を見据え、再参入を果たした。4月にスペインで出荷を始め、今後は欧州やアジアの新興国に販売を広げる方針だ。13年度に25.4%だった海外売上高比率を2年以内に30%に引き上げる。
ただ、これにCDを合算した世界市場シェアとなると、3社ともわずか数%。世界的にはCDの比率が高く、米NCR、米ディーボルド、ドイツのウィンコーの海外御三家がシェアの半分を占めているのだ。
ATMの普及を進めるのが、シェア拡大の近道だが、日本製品の技術の高さをアピールするだけでなく、地場の文化や慣行を踏まえ、いかに適切な営業提案を行えるかが、海外戦略の成否を分けることになりそうだ。(黄金崎元)