--消費税率引き上げ後の景気の現状は
「景気が落ち込めば、年後半の事業計画も見直さなくてはならないが、底堅い感じがある。下期には、マーケティング統括顧問に就いたときから準備してきた新製品の計画が目白押しで、強力に打ち出していく。景気の底堅さは非常にポジティブ。強く攻めていける好環境だ」
--1997年4月の消費税増税時との違いは
「今は消費をしたり、物の購入に楽しみを味わえるようになったということがベースがある。また、3%分の増税であれば感覚的に(消費者は)吸収できるのではないか。東京五輪の開催に代表されるように明るいニュースもある。経済はエクスペクテーション(期待)で動くと学んできたが、心理的なものは大きい。ただ、10%に引き上げられるのが時間軸であまりに近いと、税率が8%から10%になるというよりも5%から10%になったと捉える人もいるだろうから、そこは心配だ」
--マーケティング改革を資生堂に浸透させてきた
「日本企業の悪いところは、部門ごとにぶつ切りになること。世界の強い企業では組織の横の連携が取れている。ある商品について開発や営業部門の人が徹底的に議論をし、全社を挙げた準備ができているほど市場での成功率は高くなる。人の気持ちは目に見えない壁となるので、そういう議論を今はガンガンやっている。意見を言うとともに、発言への責任を全員が持つようになった」
--幹部への女性起用などで先を進んでいる
「ダイバーシティとは、異なる意見や考え方、経験を持つ人が集まることによる強さだ。経営陣や管理職で女性の割合が高いことも一つの指標となるが、国や性別や年齢などが異なる人が集まることの意味や、それによってもたらされる価値は大きい。特に消費財のビジネスでは、いろんな視点をもったほうがいい」
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【プロフィル】魚谷雅彦
うおたに・まさひこ 同志社大文卒。1977年ライオン歯磨(現ライオン)入社。94年日本コカ・コーラ副社長、2001年社長、06年会長。07年NTTドコモ特別顧問。13年資生堂マーケティング統括顧問を経て14年4月から現職。奈良県出身。