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【PC Watch】映画『STAND BY ME ドラえもん』(上) 

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【PC Watch】映画『STAND BY ME ドラえもん』(上) 

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映画監督の八木竜一氏  □映画『STAND BY ME ドラえもん』の舞台裏(上)

 ■未来の素材” 質感にこだわり

 『ドラえもん』史上初の3D・CG(コンピューターグラフィックス)化映画『STAND BY ME ドラえもん』が8日に公開された。今回、デルの協力により、映画を制作した白組(東京都渋谷区)を訪ね、舞台裏を取材することができた。取材に応じてくれたのは、映画監督を務めた八木竜一氏、アートディレクターの花房真氏、そしてCGスーパーバイザーの鈴木健之氏の3人だ。

 ◆3D・CG第2弾

 白組は1974年に創立し、アニメーションやスペシャルエフェクトを制作していた。創立当時はいわゆる特撮が専門の会社だった。

 「創立から17年目となる91年、海外では『ターミネーター2』が上映され、コンピューターグラフィックスを用いた特殊効果が世間に知られることとなりました。白組のオフィスにもマッキントッシュが導入されたが、人間の3Dモデルは難しかった」と花房氏は振り返る。

 93年には、『ジュラシック・パーク』のような3D・CGモデルを活用した映画が登場。「コンピューターの性能の進化は、映像のクオリティーの進化に直結しています。ポリゴン(三角形や四角形の組み合わせで立体を表現する技術)だけでなくテクスチャー(物体の面の質感を表現する技術)が貼れるようになってから、我々もようやく3D・CGムービー制作に携わるようになりました」

 しかし、白組はハリウッドスタジオのような大人数のスタジオではないため、当時はゲームのオープニングムービーやテレビCMなど短い作品を手がけることが多かった。ゲームでは「ソウルキャリバーIII」や「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」などだ。

 だが、「社内で映画を作ろうという熱い思いはあった。それを初めて実現したのが、2011年に公開した『friends もののけ島のナキ』でした。今回の『STAND BY ME ドラえもん』はそれに続く、3D・CG映画の第2弾です」と八木氏は説明する。

 『STAND BY ME ドラえもん』の制作期間について八木氏は「構想から4年、そのうち制作に3年間かかりました。3Dの『ドラえもん』をやろうと企画して、版権元に企画書を持って行ったところ、『こんなに『ドラえもん』に愛があるプロットは初めてです。大歓迎ですよ、ぜひやってください』と言われました。それがスタートでしたね」と振り返る。

 実制作期間のうち最初の1年半は、映画に出てくる“素材”の準備だったという。“素材”とは、映画『ドラえもん』に出てくるキャラクター、ひみつの道具、そして、のび太君の家のセットや、町並みなどの背景である。

 「最初はまずとにかく登場する人物や物を作って行くのです。それが制作の大半です。それと並行してシナリオの制作や絵コンテ、物のレイアウトなどを決めていきます。素材が完成すると同時に、素材を組み合わせてシーンを作って行きます」(花房氏)

 「各シーンでは、まずキャラクターの骨組みのような単純なモデルを用いて、動きなどを作り込んで行きます、それから最終的にレンダリング(プログラミングによる画像生成)を行う段階で実際のモデルと差し替えていくんです」と説明する。

 ◆1フレーム6時間

 レンダリングでは数百台のマシンを用いたという。レンダリングにかかる時間は、鈴木氏によれば「前回の『friends もののけ島のナキ』では1フレーム当たり約12分を想定して制作していました。『ドラえもん』では1枚当たり1時間なんというのはよくありますよ。タイムマシンが手前に迫ってくるような、非常に重いシーンでは、1フレーム当たり6時間かかりましたね」と言う。

 ちなみに、『STAND BY ME ドラえもん』は約1時間30分の映画だが、全編を通して約12万フレームが存在する。実際、1カットで10枚のフレームを合成することもあるので、おおよそ120万フレーム近くをレンダリングしているという。

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 ■白組、マシン数百台で画像生成

 白組では3D・CG制作ソフトに一貫してAutodeskの「3ds Max」を採用しているが、導入しているPCのスペックの向上や、3ds Maxへの統一によるスタッフの操作の慣れなどにより、以前と同じ限られた時間でも、より質の高い3D・CGが制作できるようになっているという。

 今回の制作において、花房氏はとにかく、登場する素材一つ一つの質感にこだわり抜いた。

 「ひみつの道具がありますよね。ひみつの道具は未来の道具なので、現代には存在しない素材でできているのかも知れません。だから未来の素材の質感はどういうものなのか、花房氏はものすごく考えたんですよ」と八木氏は語る。「スタッフはよく花房さんのところに行って、現代の素材を見せて『こんな感じですか?』って聞いてましたよね。それで『違う違う、もうちょっと透明感があって…』って指示してました」

 ツルツルで映り込みがたくさんあるような素材から、半分だけ透けているような素材まで、未来の素材をいろいろ考察した。

 また、ひみつの道具の“リアルっぽさ”を再現するのも大変だったという。単純に3D・CGで作った「ピカピカの新品の道具」では今一つリアルさに欠けるが、かと言って汚しや傷を多数入れてしまうと、「未来から来た新しさ」が失われてしまう。だから、リアルな質感を実現するのに苦労を重ねた。

 「映り込みの質感がある道具も登場しますが、ドラえもんの鼻や鈴なども映り込みがあります。そこに映り込んでいるキャラクターや物は、カメラの中に入っていなくても、動いている必要がありますね。そうでないと不自然ですからね。だから映り込みが多い素材を使う時は、被写体以外のモデルの動きに特に注意しました」と花房氏は語った。

 加えて、ひみつの道具のみならず「ドラえもん」自身の質感も重要だった。「ドラえもん」自身も未来からやってきたロボットだからだ。「未来の家電メーカーがロボットを作ったら、こういう素材でできているんだろうと想像しました。「ドラえもん」の素材に、指紋ぐらいは付くでしょう、とも考えました。「ドラえもん」の頭とかよく見ると、実はのび太君の指紋でいっぱいですよ」と、花房氏はこだわりを見せる。

 鈴木氏によれば、今回の『STAND BY ME ドラえもん』に登場する「ドラえもん」は、29万ポリゴン。のび太君は85万ポリゴンで構成されている。テクスチャー数は、のび太君で61枚だという。

 ここまでは「なんとなく家のハイエンドGPUでもレンダリングできそうかな~」と思われる数字であるが、のび太君たちがよく遊ぶ空き地は、1400万ポリゴンで構成されている。そして周囲に民家などがあるので、背景のみで平均3500万ポリゴン。登場キャラクターを含めれば、1シーン当たり4000万ポリゴンとなる。

 ◆4Kのテクスチャー

 また、テクスチャーも半端ではない。先述の通り、のび太くんは61枚のテクスチャーで構成されているが、各テクスチャーの解像度は4Kサイズのものもある。花房氏は「2K(フルHD)の映画なのに4Kのテクスチャーを使うなんて変だと思われるかも知れませんが、目をものすごく大きく拡大しても耐え得る品質を維持するためには、4Kサイズのテクスチャーが必要でした」と語る。(インプレスウオッチ)

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