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石橋をたたきすぎる? TOTO「自前主義」を堅持…ブランド育成に時間
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TOTOの海外売上高 衛生陶器の国内最大手、TOTOがインド西部で新工場を7月に稼働させるなど海外事業の拡大に向けて本格的に動き出した。
INAXブランドで展開するライバルのLIXILグループがM&A(企業の合併・買収)で海外事業を加速させているのに対し、TOTOは「自前主義」で時間をかけてブランドの浸透を図る姿勢を堅持しながら、2013年度に18%だった海外売上高比率を17年度には24%に引き上げる方針だ。ただ、経済成長が進む新興国などの需要を取り込むにはスピーディーさが求められるだけに、戦略転換を迫られる可能性もありそうだ。
「インドの発展があってこそTOTOの成長もある。地元のみなさんに支持されるブランドになりたい」
20日に開かれた新工場の記念式典で、喜多村円社長は州政府や販売代理店の関係者らを前にインドでの事業拡大に力を注ぐ考えを強調した。
新工場は、グジャラート州の主要都市アーメダバード近郊の田園に囲まれた工業団地の一角に、60億円をかけて建設。9月から衛生陶器の出荷をインド国内向けに本格化させる。
同社のインドでの販売台数は昨年は10万個以下だったものの、ここ数年は所得水準の向上を背景に年率4~5割のペースで急伸している。富裕層や中間層を中心に中高価格帯(2万円前後)の便器が今後売れると判断。現地生産で需要獲得に弾みをつけ、洗浄便座「ウォシュレット」の拡販も図る考えだ。
経済成長が続くとはいえ、インドではトイレの世帯普及率は50%以下とされる。新工場の生産能力は年間50万個。同社はインドでの販売は今後、倍以上に伸びるとみているが、それでも年産能力を大きく下回るため、工場がない欧州や中東向けにもインドから輸出する方針だ。
TOTOが駐在員事務所を開設してインドに進出したのは2002年と、今から12年前。同業他社から「石橋をたたきすぎる」と揶揄(やゆ)されるほど、海外事業の展開には長い年月をかける。
13年度の売上高が544億円と海外最大の中国では、北京市の公的施設に初めてトイレを納めたのが1970年代後半で、初の工場建設はその15年後だった。
じっくりと市場に食い込み、ブランドを根づかせる手法で成果を出し、今や中国では自動車のメルセデス・ベンツなどとともに「TOTO」は高級品の代名詞的な存在になっている。
同社は事業の進捗(しんちょく)度合いに応じ、ターゲットとする主要国を3つに区分。中国は、販売網の整備を一通り終えた「ステージ3」と位置づけているのに対し、インドは「ステージ1」の段階にすぎない。
ただ、新興国市場をめぐる競争は激しさを増しており、時間をかける手法が許されなくなりつつあるのも確かだ。ライバルのLIXILは7月に南アフリカのDAWNからトイレを含む住宅設備部門を買収し、アフリカに進出。相次ぐ大型のM&Aで海外事業の拡大にかける「時間を買う」戦略を強めている。
TOTOも5月に発表した14~17年度の中期経営計画で、海外投資額を10~13年度に比べ25%増の400億円以上と積み増し、東南アジアでの工場建設も視野に入れる。
しかし、17年度の達成を目指す海外売上高比率の24%は、ライバルのLIXILは14年度末時点で超える見通しで、大手証券のアナリストは「(投資計画は)迫力不足」と指摘する。「石橋をたたきすぎる」戦略がこれからも成果をもたらすかは未知数だ。(井田通人)