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電機
【フジテレビ商品研究所 優品ズームアップ】レンジグリル「ZITANG」
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■必要な機能進化 調理時間を大幅短縮
あんな料理こんな料理を作ってみたいと期待して買ってはみたものの、電子レンジのオーブン機能はほとんど使われていない。そんなレンジオーブンを“毎日使いたくなる”調理器具に変身させることをテーマに開発されたのが、三菱のレンジグリル「ZITANG」(時・短・具)だ。
◆「毎日使える調理器具」
電子レンジの市場は、年間300万台強で推移しているが、その8割はオーブン機能付きの機種を購入している。多くの自動調理メニューを備えた、高機能オーブンレンジは、簡単に本格的なレシピを楽しめるのが魅力だ。しかし、レンジ機能はほぼ毎日使うのに、オーブン機能の使用頻度は週一回に満たない人が7割以上だという。
この原因となっているのが、調理時間の長さだ。忙しい毎日の食事作りで利用するには、既存の電子レンジのオーブン機能は、時間がかかりすぎる。せっかくの本格的なメニューも、時間に余裕がある週末くらいしか楽しむ気になれず、オーブン用のトレーも台所の隅に片付けられ、ますます使用機会が減るというのが、良くあるパターンではないだろうか。
その一方で、シリコン系スチーマーやレンジで焼き魚ができるお皿などの人気ぶりを見ると、より多様な電子レンジメニューに対するニーズは非常に高い。調理時間の課題さえ解決すれば、“毎日使える調理器具”になるのではないか。三菱電機では、大胆な発想で商品開発に取り組んだ。開発コンセプトは、あまり使っていない機能は思い切って捨て、必要な機能は進化させようとするもの。
◆庫内スペースを圧縮
まず取り組んだのが、庫内スペースの圧縮だった。100Vの家庭用電源で供給できる電力では、大きな庫内を速やかに高温にすることには限界がある。焼きムラのない仕上がりのために、予熱を行って庫内を均一にすることも必要になる。余分な空間を温めるロスをなくして、普段使うのにちょうど良いサイズを求めて検討を続けた結果、30リットルタイプの従来機種で235ミリメートルだった庫内高さを147ミリメートルとした。食器の通信販売を行うWebサイトなどを参考に調査した結果、電子レンジ用容器や食器などのサイズは、ほとんどのものが高さ13センチメートル以下に収まっており、147ミリメートルの高さがあれば不便を感じることは少ないことも確認した。
庫内スペースを圧縮したことで、従来機種(30リットルタイプ)では11分45秒かかっていた、庫内温度を200度に上げるのに必要な時間が、4分15秒で済むようになった。庫内温度が素早く立ち上がることで、予熱しなくてもムラなく均一な焼き上がりが得られるようになった。無駄な加熱がなくなったことで、消費電力量は大幅に低下。省エネトップランナー値120%を達成した。
◆ムラなく加熱
庫内容積を圧縮したことで、大型の鶏を1羽丸ごと使ってローストチキンを作ったり、二段皿で一度にたくさんのクッキーを焼いたりできる機能はカットせざるを得なかったが、その代わりに進化させたのが加熱機能だ。電子レンジ用のアンテナには、円偏波を応用したらせん状にマイクロ波を放射するアンテナを採用することで、レンジ加熱の温度ムラを大幅に抑制できた。1回のレンジ加熱でムラなく温められれば、温め直しのロスがなくなり、時短、省エネにもつながる。
天面(フラットヒーター)、背面(コンベクションヒーター)、底面(シーズヒーター)と3つの面に配置されたヒーターは、余分な庫内スペースに奪われる熱の無駄がなくなった分、素早く食品を加熱できるようになった。庫内の温度がすぐに上昇するため、レンジ加熱とヒーター加熱を組み合わせた調理がスムーズに行えることも「ZITANG」の特長だ。
鶏の空揚げなら、電子レンジ加熱で脂を溶かした後、グリルで焼くと溶けた油で空揚げができあがる。さらに、表面が収縮して余分な油が下に落ちるので、ヘルシーさも期待できる。「ZITANG」の特長は、単なる減脂にはとどまらない。電子レンジ加熱と素早いヒーター加熱を組み合わせることで、電子レンジだけだと水っぽくなり、オーブンだけだと火が通りにくくて表面が乾いてしまう野菜料理も、野菜本来のうまみを生かしたおいしさが手軽に実現できた。衣がベチャついたり内部は冷たいのに衣が焦げてしまったりと不満が多かった揚げ物の温め直しも、揚げたてのおいしさが味わえる。
◆熱烈支持で商品化
大きくて読みやすい操作パネルの液晶文字のほか、次に操作するボタンを発光ダイオード(LED)の光で知らせるなど、使いやすさにも工夫が凝らされている。また、別売りのトッププレートを乗せれば、低くなった天板上面を調味料置き場などとして利用することも可能だ。
前例のない商品だけに、商品化を決断するにあたっては社内に反対する意見も多く、モニター評価を行っても支持したのは3分の1だったという。しかし、その3分の1のモニターからは熱烈な支持が寄せられたことで発売に踏み切った。以来、3年が経過した今も、“本音で料理に取り組む”人に支えられて、「ZITANG」は売り上げを伸ばしている。
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■フジテレビ商品研究所
「企業」「マスコミ」「消費者」をつなぐ専門家集団として1985年に誕生した「エフシージー総合研究所」(東京都江東区、従業員40人)内に設けられた研究機関。「美容科学」「食品料理」「環境科学」「生活科学」の各研究室で暮らしに密着したテーマについて研究を行っている。