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「ロボット」開拓に期待する住宅各社 事業化を急ぐ背景とは?
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大和ハウス工業本社で展示されるサイバーダインの歩行支援ロボット「HAL(ハル)」(右)、床下点検ロボット「モーグル」(中央)、アザラシ型ロボット「パロ」(左)=8月19日午前11時50分ごろ、大阪市北区(西川博明撮影) 日本の住宅メーカー各社が「ロボット」事業分野の開拓を進めている。少子高齢化に伴う人口減で住宅需要が先細りする一方、医療・介護を中心にロボットの需要が増すと予想し、新たな商機に期待を寄せる。政府が今年6月にまとめた成長戦略に「ロボット産業の拡大」を盛り込んだことも追い風だが、各社の事業は始まったばかり。収益性のある事業に成長させられるかが課題だ。
住宅最大手の大和ハウス工業は平成20年1月、住宅に続く「世の中の役に立つ事業」(樋口武男会長)の位置付けでロボット事業に参入した。
取り扱うのは、出資先のサイバーダイン(茨城県つくば市)が開発した、脚に装着して歩行を助ける「ロボットスーツHAL(ハル)」や、大和ハウスと千葉工業大学などが開発した「モーグル」など。特にモーグルは住宅の点検で、人の目に頼っていた狭い空間のひび割れなどのチェックを肩代わりできるため、パナホームなど同業他社にも販売を広げている。
ただ大和ハウスのロボット事業は「正直なところ赤字の状態」(同社ロボット事業推進室)だ。理由の一つは高い価格。高齢者向け施設などで導入が進むHALは1カ月のレンタル料が10万円台前半といい、個人の利用には高い。これがロボットの普及が進まない要因となっている。
このため大和ハウスは「地方自治体の助成制度などを活用し、普及を図りたい」考えだ。今後、開発メーカーとの連携を強化し、製品ラインアップや使い勝手を向上させて家庭向け需要を開拓する。この事業の売上高を平成26年度に25年度実績のほぼ倍の6億円に引き上げ、東京五輪開催の32年度には50億円を目指す。「将来は海外に輸出する」(樋口会長)と同社の鼻息は荒い。
ライバル他社の動きも活発だ。積水ハウスはビジネスモデル確立に動いている。今年2月から医療用機器のマッスル(大阪市中央区)と共同で介護支援ロボットの開発に着手。28年3月までの商品化が目標だ。
また、JR大阪駅前の複合ビル群「グランフロント大阪」(同市北区)などで、ホンダがロボット技術を投入した1人乗り電動一輪車「ユニカブ」を使った実証実験を実施。「住宅内で(ロボットが)どう活用できるかを検証する。早期の事業化に結びつけたい」(積水ハウス幹部)と意気込んでいる。
住宅各社がロボットの事業化を急ぐ背景は、住宅市場が新築を中心に縮小傾向にあり、他の収益源を模索しているためだ。
国土交通省のまとめによると、かつて年間100万戸を超えた新設住宅着工戸数は近年、80万~90万戸台に低下。国による中古・リフォーム市場の育成方針などもあり「将来は年間60万戸に落ち込む」(中堅住宅メーカー首脳)との見方もある。
そんな中、高齢化で介護補助ロボットなどの需要増を見込み、各社は新たな成長産業としてのロボットに期待をかけている。
ただ、ロボットの普及状況は工場で活用される産業用が中心で、近年話題になったのは米アイロボットの自動掃除機「ルンバ」程度。収益化はまだ難しい現状がある。
安倍晋三政権は成長戦略で、32年までに「ロボット市場を製造分野で現在の2倍、サービスなど非製造分野で20倍に拡大する」と明記。さらにソフトバンクなど異業種の本格参入も始まっており競合が激しくなる。住宅各社の試みがロボット市場を盛り上げられるか注目されている。