ニュースカテゴリ:企業
経営
【ハザードマップ】宝石・貴金属販売 三貴 店舗閉鎖費用や消費税増税が圧迫
更新
「ジュエリーマキ」「じゅわいよ・くちゅーるマキ」などのブランドで宝石・貴金属販売店を展開する三貴(東京都台東区)が7月30日、2回目の民事再生法の適用を申請した。負債総額は約126億円。このうち1回目の民事再生時の債権が100億円以上を占める。同法適用を最初に申請した2009年1月から5年半。元本と利息の約58%が免除され、8回の分割弁済は5回分を終えて再生は順調とみられていた。しかし不採算店の閉鎖費用がかさむ中、4月の消費税増税の影響で力尽きた。
つまずきは、実は今回で3回目。最盛期の1992年には宝飾品販売で約800店、衣料品販売で約750店を構え、売上高が2100億円にのぼる業界のガリバーだった。ところがメーンと準メーンの銀行が98年に経営破綻。バブル崩壊で売り上げが急減する中、金融の後ろ盾も失い、最初の挫折に進んだ。
2001年3月、旧・三貴が新・三貴に営業を譲渡し、旧会社は特別清算の手続きに入った。負債総額は約900億円。銀行が保有する債権は整理回収機構(RCC)に移され、債務が大幅にカットされて再スタートした。
420の宝飾店舗を引き継ぎ、バブル崩壊後の1998年ごろには500万円以下だったl店舗当たりの月間売上高は、2004年には843万円と回復。ところが、新たにメーンとなったメガバンクが06年1月の合併を決め、融資先への取引姿勢が厳しくなった。財務が悪化していた新・三貴への貸出金は不良債権とされ、新規融資が停止された。
資金繰りを事業収入だけに頼るしかなくなった三貴は、再び不採算店の閉鎖を迫られたものの、1店舗当たりの月間売上高が約800万円と順調だったため、最悪の事態には至らなかった。ところが08年9月のリーマン・ショックを機に売り上げは急減。同年11、12月はボーナス、クリスマス商戦期にもかかわらず490万円に落ち込んだ。
09年7月、1回目の再生計画の認可を受けた三貴は、経費削減や顧客からの商品下取りによる営業強化で売り上げ増と利益確保に努め、11年8月期は会社全体の売上高が59億円と計画の60億円をほば達成し、1050万円の経常利益も計上した。
しかし、11年3月の東日本大震災で消費は自粛ムードに一変。商品の下取りも一巡したため13年8月期の売上高は44億円に落ち込み、身軽になるための店舗閉鎖で特別損失が生じ、約8億6600万円の最終赤字となった。そして消費税増税がとどめを刺し、1店舗当たりの売上高は14年4月には352万円に低下。給与の支払いも滞り、資金繰りに行き詰まった。(東京商工リサーチ)
◇
【会社概要】三貴(7月下旬現在)
▽本社=東京都台東区
▽設立=1997年12月
▽資本金=9000万円
▽従業員=280人
▽事業内容=宝石・貴金属販売
▽負債総額=約126億円
◇
〈チェックポイント〉
債権者への説明会で三貴の経営側は「消費税増税で消費が冷え込んだ影響が大きかった」と強調した。しかし、増税が経営再建に水を差す以前から、店舗閉鎖に伴うリストラ費用が経営を圧迫していた。外部環境の悪循環に見舞われ続けたことも破綻の要因だったとはいえ、バブル期に作り過ぎた店舗の縮小に追われた結果でもあった。
2回目の民事再生では、不採算店を出さずに採算を維持することが目標となりそうだ。三貴は「スポンサーを付けて再建を確実なものにする」としている。事実上、3回目となる再建は、まさに真価が問われる。(東京商工リサーチ取締役情報本部長 友田信男)