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【ビジネスアイコラム】ジャパニーズウイスキー、人気の秘訣
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日本製ウイスキーの輸出が拡大している。サントリーホールディングス(HD)の輸出量は、2013年が前年比12%増の18万2000箱(1箱は700ミリリットルが20本)、14年は同10%増の20万箱を見込む。一方のアサヒビールグループHDのニッカウヰスキーも欧州向けを中心に輸出は好調で、13年が69%増の7万6000箱に対し、14年は同32%増の10万箱を見込んでいる。いずれも、欧米をメーンに、主に高級ウイスキーを輸出している。
日本のウイスキーは大正時代、グラスゴー大学に留学した竹鶴政孝氏が製法を持ち帰りスタートを切る。サントリー山崎蒸溜所を設計し、工場長などを務めた後、竹鶴氏はニッカを創業する(NHKの朝の連続テレビ小説「マッサン」は政孝氏とリタ夫人の物語)。
山崎蒸溜所にて、我が国最初の蒸留作業が行われたのは1924年12月。12世紀に始まるとされるスコッチの歴史から比べれば、ジャパニーズウイスキーはまだ90年。だが、この10年間でISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)をはじめ世界的なコンテストで、サントリーもニッカも最高賞受賞を含めて高い評価を得てきた。
ウイスキー原酒には、大麦麦芽を原料に単式蒸留機で2回蒸留(アイルランドは3回)するモルトウイスキーと、トウモロコシや小麦などの穀物と麦芽を原料に連続蒸留機で蒸留するグレーンウイスキーがある。このうち、単一蒸留所のモルトだけを使ったのが「シングルモルトウイスキー」と呼ばれる。また、複数のモルト原酒を混ぜ合わせ、さらにグレーン原酒をブレンドしたのが「ブレンデッドウイスキー」。流通量としては、世界の8割以上がブレンデッドだ。
日本のメーカーの特徴は、1つの蒸留所で多彩な原酒を造り出せる点だ。これにより1つのメーカーから、シングルモルトだけではなく、複数のブレンデッドを製品化させている。サントリーならば「山崎」「白州」のシングルモルトに加え、「響」や「角瓶」「オールド」など数多くのブレンデッドを製品展開している。
スコットランドには約100の蒸留所があるが、皆同じシングルモルトだけを造り続けている。マッカラン蒸留所ならば「マッカラン」だけを造る。ブレンデッドのメーカーは、いくつもの蒸留所からモルト原酒を調達し、グレーンと合わせて完成させている。調達先が重なるケースもある。
サントリーとニッカが多様なウイスキーを製品化できるのは、日本人による細かな管理と繊細なモノづくりができるからだ。ウイスキーは長期熟成が必要。例えば白州なら、南アルプスの自然が原酒を育んでいく。そこに人の手が入り、長期に管理していく。最終的にはブレンダーにより、キャラクターの異なる製品を造り上げる。自然、そして日本人の繊細なモノづくりは、ジャパニーズウイスキーに凝縮される。
自動車や電機製品のような工業製品とは一線を画す、人の五感やイマジネーションによる匠の技でもある。
「アニメやアイドルなど欧州での日本ブームも後押ししているが、酒も文化。大人のメディアとしてのジャパニーズウイスキー拡大は、世界の日本への理解を深めてくれる」(平野伸一アサヒビール専務)のは間違いない。(経済ジャーナリスト 永井隆)