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【ケータイWatch】「Syn.」構想 KDDIの森岡康一氏に聞く
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KDDIの森岡氏。多くの実績を残し1年前にKDDIへ移籍したキーパーソンだ ■人気アプリ連携、さらに進化も
KDDIが、同社を含むネット関連企業12社が参画する「Syn.」(シンドット)構想を発表した。第1弾である「Syn.menu」(シン・ドット・メニュー)では、これまでバラバラに動いてきたニュース、カレンダー、ファッション、ナビなど、各社サービスに共通のサイドメニューが導入され、ユーザーはスムーズに各社のサービスを利用できるようになる。事業者にとっては互いのユーザーを送り合う形で、12社の抱えるユーザー約4100万人(延べ人数)に向けて、より便利なサービスの実現を目指す。
「Syn.」構想を発案し、各社を口説いてリードしてきたのがKDDIで、そのなかでプロジェクトを進めていたのが森岡康一氏だ。ヤフー、そしてフェイスブックで実績を挙げ、約1年前の2013年10月、KDDIに移籍した森岡氏は、KDDIという通信キャリアの大きな力で「Syn.」構想を現実のものにする一方で、「KDDIという存在を使って、ネットを面白くしたい」と笑う。KDDIと関係が深いネット企業が多く参画するように見える一方で、オープン性をアピールする「Syn.」構想はいったいどんなものなのか。森岡氏に語ってもらった。
◆新しい世界観描く
ヤフーで9年、フェイスブックで3年半、自分のなかで、スマートフォンの時代で新しい世界観というものを漠然と描いていました。そこへKDDIの田中孝司社長や高橋誠専務に誘われたんです。
KDDIでは、「auスマートパス」「auウォレット」といった垂直統合型サービスを提供していますが、その一方で、これからを見据えるとユーザーとの接点を強化する必要があり、さらに言えばもっと新しい取り組みができるんじゃないか、そこにチャレンジしないかと。
KDDIに入り、何をやっていくか検討を重ねて、今年1月から「Syn.」構想のプロジェクトをスタートしたわけです。田中社長にはサービス同士をつなげていく、と言い続けていたのですが、その時のイメージは「脳細胞のシナプス」でした。そこで社内では“プロジェクトシナプス”と呼ぶことになったのです。“Syn”というのはそこから出てきたワードで、さらにシンフォニー、シンジケートといった言葉も“Syn”から始まります。この構想のイメージに当てはまるな、ということで「Syn.」と名付けました。
◆支援者としてやる
KDDIは発案者です。でも、一歩引いた形で、支援者としてやっていきたい。このSyn.構想は、オープンなインターネットにおいて、キャリアを問わずにやっていきたいのです。ユーザーからすると、キャリア色を極力見せないようにしたい。
個人的には「Syn.」は“いちご大福”だと思っています。いちごと大福、別々のモノが一つになると、全く別の価値あるものになるというイメージです。まずはサイドメニューで互いのサービスに回遊できる、という形で、アプリとしてスタンドアロンだったものが一緒になっていく、という枠組みにしていく。当初は利用中のサービスを切り替えるだけですが、将来的には機能を連携させる方向で進めています。
この構想はオープン化していくものです。他社のなかには、自社ブランドの経済圏を広げていく形もありますが、そうした仕組みとのアンチテーゼでありたい。“餅は餅屋”を追求したい。本当に美味しい餅屋が集まって、互いに手を取り合っている。そういうインターフェイスなんです。
たとえば「auスマートパス」はauユーザーならおトク、という形です。でもSyn.はキャリア色をあまり出さず、インターネットの在り方を追求したい。
最初は12社が参画する形で、今後はオープンな形にしていきます。つまりユーザーが好む形でカスタマイズできるようにする。ただし、どのアプリでも好きに「Syn.menu」に追加できるかというと、そうではなくて、コンテンツはある程度、厳選する形になります。その審査はまだこれからですが、KDDIが指揮をして命令するのではなく、Syn.alliance内の協議会で進めていく形です。こうした思想は、参画企業全てで共有できています。
◆「構造を変えたい」
ちょっと過激な言い方かもしれないけれど、今の日本のスタートアップ(サービス開始から間もない企業)は、小粒なまま終わってしまっているのではないでしょうか。ある程度の出資、ちょっとした買収で満足しているのではないか。資金調達するとその大半をプロモーションに投入してプロダクトが進化しないことがあるような気がしています。
でも、そうしたスタートアップが開発に集中するためには、ある程度、トラフィックを確保できる場所が必要でしょう。「Syn.」という相互補完の仕組みを入れることで、プロダクトをもっと進化させたい。そうしてプロダクトを研ぎ澄ませていかないと海外には勝てない。
フェイスブックでの経験を通じて、海外のすごさをイヤというほど思い知らされ、正直悔しい想いをしました。日本だってすごいプロダクトは多く、技術力は高い。でも構造の面で(そうしたプロダクト、スタートアップを)発展させていないのではないか。その構造に「Syn.」で一石を投じられるのであればやってみたい、やるべきだと。
Syn.menuといった今回発表の内容は構想の第1弾です。つまり第2、第3の構想があります。まだ詳しくはお話しできませんが、一つはサービスのオープン化であり、もう一つがユーザーから得た情報を基にサービスに反映させていくDMP(Data Management Platform)です。
DMPでどういったデータを扱うかというと、まだ何も決まっていません。たとえば個人情報については、ユーザーからきちんと同意を得られなければなりませんし、センシティブなところです。(信頼性があり、安心感のある)キャリアグレードを意識しながら、慎重に進めて、まずできる範囲を考えていきます。この部分は今後のインターネットの課題の一つでしょう。(インプレスウオッチ)