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トヨタ、新工場機運高まる 世界販売首位固めへ 「稼ぐ力」回復鮮明
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会見するトヨタ自動車の小平信因副社長=5日、東京都文京区(蔵賢斗撮影) トヨタ自動車が5日発表した平成27年3月期の業績予想の上方修正により、同社の「稼ぐ力」の回復が鮮明となった。こうした中で、安易な生産拡大を戒め、25年度から3年間凍結した工場新設の解禁を求める声も強まっている。独フォルクスワーゲン(VW)、米ゼネラル・モーターズ(GM)を含む「新ビッグ3」の競争が激しくなるなか、足踏みを続ければ世界首位の座を奪われかねない。トヨタは世界販売1千万台の“次”に向けた成長への決断を迫られている。(田辺裕晶)
「既存設備を最大限に活用して稼働率を上げ、効率の良い投資をする。28年4月以降どうするかは需給動向次第で検討する」
小平信因副社長は5日の記者会見で、工場新設について慎重な物言いに終始した。ただ、足元では生産投資の解禁に向けた動きも出始めている。
中でも注目されるのが、北米への輸出拠点となるメキシコ新工場の建設案だ。昨夏の幹部会では、豊田章男社長がこの建設案を突き返したもようだが、米国に隣接し人件費も安いメキシコでは日産自動車やホンダ、マツダなど工場新設が相次いでいる。
また、メキシコ以外にも「生産投資の解禁を見据え、各地で提案が出ている」(トヨタ関係者)といい、生産拡大に向けた社内の機運は高まっている。
トヨタはリーマン・ショック後の赤字転落や米国での大量リコール(回収・無償修理)、東日本大震災による供給網の寸断などから、過去の拡大路線を封印した。工場の新設は原則凍結し、既存工場の能力増強で対応する一方、徹底したコスト削減を行うなど経営体質の強化に努めてきた。
ただ、豊田社長は「1千万台という未知の世界で成長し続けるには、身の丈を超えた拡大を絶対にしない覚悟が必要だ」と述べ、安易な拡大路線への回帰は認めない構えだ。今年度を「意志ある踊り場」(豊田社長)と位置づけたトヨタは、研究開発費に過去最高の9800億円を投じ、将来の成長につながる開発力の向上を優先してきた。
ただ、年内の1千万台超えを掲げるVWは、中国での工場建設など、今後5年間で182億ユーロ(約2・6兆円)を投じる。ライバルが積極的な生産投資で、トヨタの首位を脅かす中、「守りを固めるだけで、持続的な成長はあり得ない。トヨタが攻めに転じる時期はそう遠くない」(自動車アナリスト)との見方も根強い。