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大株主の怒り買ったコカ・コーラ… 話題の「緑のコーラ」で経営立て直せるか

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大株主の怒り買ったコカ・コーラ… 話題の「緑のコーラ」で経営立て直せるか

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コカ・コーラのケントCEO。逆風が強まる中、経営改革の加速が求められている(AP)  米清涼飲料大手コカ・コーラが揺れている。健康志向で看板商品のコーラが低迷し、直近の決算では大幅減益となるなど業績が悪化。従業員の高額報酬が著名投資家のウォーレン・バフェット氏ら大株主からやり玉に挙げられている。危機感を強めるコカ・コーラは、植物由来の“緑のコーラ”の開発など商品戦略の見直しや、リストラの加速に乗り出したが、改革は待ったなしだ。

 怒る投資家

 米投資会社バークシャー・ハサウェイを率いるバフェット氏。ウォール街を嫌い、故郷のネブラスカ州オマハに拠点を構えて世界経済を鋭く洞察する姿は「オマハの賢人」と称され、日本にもファンが多い。

 そのバフェット氏が、「米国を代表する企業ブランド」とひときわ高く評価するのがコカ・コーラで、バークシャーはコカ・コーラ株の約9%を保有する筆頭株主だ。バフェット氏本人も子供の頃から大の「コーク好き」で、ハムサンドイッチと一緒に食べるのがお気に入りだとか。

 それほどコークを愛してやまないバフェット氏が、同社にかみついた。理由は、コカ・コーラの「並外れた」従業員への報酬体系。たとえばストックオプション(自社株購入権)だけでも、2011~13年の平均で、同社の発行済み株式の1・3%に達し、バフェット氏は「幹部に法外の報酬をもたらす『宝くじ』だ」と批判した。

 やはりコカ・コーラの大株主である米投資会社のウィンターグリーン・アドバイザーズも今年3月、他の株主と共同でコカ・コーラ経営陣に公開書簡を送り、報酬の見直しを迫った。

 コカ・コーラは当初、「長期的には業界の標準水準内にあり、(批判は)事実を反映していない」と突っぱねていた。コカ・コーラの幹部社員はストックオプションの実現にあたっては、業績目標の達成も求められている。ムーター・ケント会長兼最高経営責任者(CEO)は2012年の報酬が3割超も下がったが、会社として業績目標を達成できなかったためだ。

 だが、ストックオプションによる株主価値の希薄化を批判する声はやむことがなく、コカ・コーラはついに報酬制度を見直すと今年10月に発表した。

 新制度では、ストックオプションを発行済み株式の0・8%以下にとどめ、ストックオプションの権利行使に伴う株式価値の希薄化を抑えて、報酬の透明性を高めるとしている。株主の意見も参考にしたとしており、米紙ウォールストリート・ジャーナルは「コカ・コーラがバフェット氏の圧力に屈した」と伝えた。

 「緑のコーラ」対決

 本業でも最近、世間の注目を集める発表があった。コカ・コーラが米国を皮切りに8月から発売を始めた新商品「コカ・コーラ・ライフ」だ。

 なんといっても話題を集めたのが商品ラベルの背景色だ。オリジナルのコーラは赤色だが、こちらは鮮やかな緑色。甘味料として使っている植物ステビアをイメージしたという。砂糖の使用を抑えめにすることで、オリジナルより低カロリー。人工甘味料も使っていないため、味わいもよりナチュラルという。

 インターネットの交流サイト(SNS)などでは、消費者が感想を披露しあっており、「飲み比べたが、普通のコーラとほとんど変わらない」といった声も聞かれる。

 開発の背景に、「肥満体国」の米国を中心に世界的な健康志向で、炭酸飲料の消費が頭打ちになる中、コカ・コーラとしても新たな需要を掘り起こす必要に迫られていることがある。

 コカ・コーラのライバルの米ペプシコも、やはり炭酸飲料の伸び悩みに苦しんでいる事情は同じで、今秋から、コカ・コーラと同様にステビアを使ったコーラを発売すると発表。業界では「緑のコーラ対決」と注目が集まっている。

 リストラも急務

 ただ、コカ・コーラの足元の業績は芳しくない。先日発表した14年7~9月期決算は、最終利益が前年同期比13・6%減の21億1400万ドルと大きく落ち込み、減収減益を余儀なくされた。出荷量が本国の北米で1%減となるなど低迷が続いているほか、景気が低迷している欧州も5%減とふるわなかった。ドル高基調で推移した外国為替相場や、瓶詰事業の再編成に関わる費用も減益要因となったとしている。

 そんな中、コーラの新商品だけでなく、発泡性飲料が横ばいとなる中、市場が伸びているお茶などの非発泡性飲料に注力していくことで、巻き返しを図る。

 一方、経営の合理化も喫緊の課題で、商品の供給体制の改革や意思決定の迅速化を進めるとしている。19年までに年間10億ドルのコスト削減を行うとしていた中期目標についても、削減額を3倍の30億ドルまで一気に引き上げた。

 しかし、コカ・コーラは「世界経済の鈍化とドル高基調の為替相場」が引き続き減益要因として重しになると見込んでおり、10~12月期も「逆風が続く」(市場関係者)との声は多い。商品構成の見直しついても、「業績を押し上げるまでに効果が表れてくるには、ある程度時間がかかる」(食品業界アナリスト)との指摘が出ている。

 さらに、コカ・コーラは、ペプシコ、ドクターペッパー・スナップル・グループの米飲料大手3社で、米国民の肥満対策として、25年までに飲料によるカロリー摂取を20%削減する目標を発表。ボトルを小さくしたり、低カロリー商品を増やすとしている。これも、ニューヨーク市をはじめ炭酸飲料の規制強化の動きが相次いでいるためだ。

 コカ・コーラ自身の通期予想でも、1株当たり利益で1桁台の後半の伸びとしている従来予想は達成できない見通し。株主や取引先の視線が厳しさを増す中、ケントCEOは難しいかじ取りを迫られそうだ。

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