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【フジテレビ商品研究所 優品ズームアップ】YKK AP「樹脂窓」
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「APW430」 ■室内の熱逃さず、快適な家を実現
そろそろ寒さも本番。暖かく快適な暮らしを実現するためには、暖房のエネルギーを戸外に逃さないことが大切だ。壁や天井などについては断熱材による施工が一般的になった日本の住宅だが、窓の断熱性能は諸外国と比べて後進性が否めない。窓の断熱性を格段に向上させる樹脂窓について、YKK APに詳しい話を聞いた。
◆断熱性低い日本の家屋
1979年に施行された住宅の「省エネルギー基準」は何度か改訂され、消費者の住宅の断熱施工に関する意識も高まっている。最近の住宅は、壁はもとより、天井や床の断熱にも配慮した施工が当たり前になってきた。しかしながら、部屋がなかなか暖まらない、暖房していても足元が冷えやすい、暖房を止めると途端に部屋が冷えてくるといった、冬場の快適性に関する悩みを抱えている人が少なくない。
朝ふとんから出たくない、結露した窓を拭くのが大変といった煩わしさにとどまらず、諸外国では、室内の寒さが健康に及ぼす影響に注目が集まっている。2009年のWHO(世界保健機関)の報告書でも指摘されたほか、イギリス保健省の指針では、冬季の室温として21度以上を推奨し、18度を許容される下限値としている。
実は、日本の住宅の断熱性能の基準は、断熱建築先進国の代表格とされるドイツに遠く及ばないだけでなく、中国や韓国に比べても低いレベルで設定されている。住宅の素材や構造、気候やライフスタイルなどの違いが大きく影響している面も否めないが、基準値そのものが低いために基準に適合した“高断熱住宅”でも冬場の快適性に不満が生じるケースも起きてくる。
◆原因はアルミの窓枠
暖房によって温められた室内の熱は、壁や天井、さらには換気を通じても失われるが、窓を通じて失われる熱の比率がずばぬけて高い。1999年の省エネルギー基準で建てた住宅モデルのシミュレーションでは、複層ガラスの窓でも、戸外に流出する熱の52%が窓を経由して失われるという。断熱性が高いといわれている複層ガラスなのに、これほど大きな熱が戸外に流出しているのは意外だが、その原因は日本の住宅では一般的なアルミの窓枠にあった。
アルミは、ガラスや木材に比べて格段に熱を伝えやすい。冬場の夜間などに窓枠をさわってみるとその冷たさに驚かされるが、せっかく「複層ガラス」を採用して窓の断熱を図っても、窓枠から熱がどんどん逃げていたのだ。
窓枠で冷やされた空気は、低い位置にたまって、足元にスースーとした不快な冷えをもたらす。また、温度の低い窓枠には結露が生じやすく、その周辺に生えるカビが、呼吸器系疾患の原因となっていることを示唆する研究成果も報告されている。
◆普及率わずか7%
アルミ製窓の熱流出の問題を解決するためには、樹脂製など熱伝導率の低い窓枠の採用が有効といわれている。しかし、樹脂窓の国別普及率を見ると、断熱基準の厳しいドイツでは60%、米国ではさらに高い67%、中国でさえ20%という値だが、日本ではまだ7%と普及が進んでいない。そんな日本の樹脂窓普及に弾みを付けようというのが、YKK APのAPW330とAPW430だ。
2009年発売のAPW330は、2層ガラスタイプ。輻射(ふくしゃ)熱を遮る特殊金属膜(LOW-E膜)のコーティングの仕方によって、戸外からの輻射熱を遮る「遮熱タイプ」と室内からの輻射熱を遮る「断熱タイプ」の2種類がある。
「遮熱タイプ」は、夏の日差しをカットして冷房の効率を高める効果も期待できる。「断熱タイプ」は、太陽光の暖かさを取り込む一方で、室内の熱が輻射によって奪われることも防ぐため、寒い地域におすすめだ。APW330は、ガラスと樹脂フレームを直接接着して強度を増すことで、従来の樹脂窓にはなかったスリムさも実現している。
◆防火性能持つ製品も
窓の断熱性能は、熱貫流率(U)で示される。値が小さいほど断熱性が高くなるが、APW330はU=1.90ワット/m2・Kと、寒冷地(北海道・北東北)の基準U=2.33ワット/m2・Kを大幅に上回っている。12年には「真空トリプルガラス仕様」(U=0.96ワット/m2・K)、今年に入ってからは、ガラスに空隙を作るスペーサーもアルミから樹脂製に変え、隙間に空気より断熱性の高いアルゴンガスを封入した「樹脂スペーサー仕様」(U=1.48ワット/m2・K)など、より高い断熱性を持つ商品や防火性能を併せ持つ商品を追加発売して、品ぞろえの充実を図っている。
今年4月に発売されたAPW430は、3層構造。樹脂スペーサーやアルゴンガスの封入に加えて、LOW-E膜による輻射熱対策も施されている、日射を有効利用するシングルコーティングタイプ(U=1.17ワット/m2・K)と断熱を重視するダブルコーティングタイプ(U=0.91ワット/m2・K)は、いずれも、ドイツの断熱基準(U=1.3ワット/m2・K)を上回る断熱性を実現している。この結果、アルミ窓枠複層ガラスでは、ガラス表面が16度、窓枠が9度になる戸外0度/室内24度の環境で、APW430ではガラス表面が23度、窓枠が21度を保っている。52%だった熱流出比率も、12%まで低減された。
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■フジテレビ商品研究所
「企業」「マスコミ」「消費者」をつなぐ専門家集団として1985年に誕生した「エフシージー総合研究所」(東京都江東区、従業員40人)内に設けられた研究機関。「美容科学」「食品料理」「環境科学」「生活科学」の各研究室で暮らしに密着したテーマについて研究を行っている。