SankeiBiz for mobile

【フジテレビ商品研究所 優品ズームアップ】三菱電機「パーソナル保湿機」

ニュースカテゴリ:企業の電機

【フジテレビ商品研究所 優品ズームアップ】三菱電機「パーソナル保湿機」

更新

 ■就寝中の顔周辺だけ加湿 肌水分1.5倍に

 湿度の低い冬場は、寝ている間の肌の乾燥や朝起きたときの鼻・喉の違和感に悩まされる人が少なくない。そんな乾燥トラブルの対策に三菱電機から発売されたのが、寝ている人の顔の周囲に集中的にスチームを届ける「パーソナル保湿機」だ。

 ◆厄介な冬場の結露

 温度変化が大きな戸外の相対湿度は、夜になると高くなる傾向にあるが、室内の相対湿度はそれほど大きく変化しない。調理などによって水分が供給されることがない就寝中は、むしろ乾燥の悩みを感じやすくなる。マスクを着けて寝たり、ぬらしたバスタオルをつるしたりとさまざまな工夫をしても、睡眠中の快適さや加湿量の点で、なかなか満足のいく効果は得られにくい。

 加湿量の大きな、加湿機や加湿空気清浄機も、寝室で使う場合の課題がいくつか指摘されている。まず挙げられるのが結露の問題だ。ただでさえ、冬場の結露は厄介な問題だが、加湿機から供給された水分は多量の結露を生じ、毎朝これを拭き取らなければならない。その他、運転音や衛生面、電気代など加湿方式の種類ごとに異なる課題があって、せっかく購入した加湿機の使用をやめてしまったという人も少なくなかった。

 技術的に成熟し、付加価値を付けにくい加湿機は、メーカーにとっても難しい商品だった。季節性の高い商品で、“当たるか当たらないか”でそのシーズンの収益が大きく左右される。4年前にいったん加湿機市場からの撤退を決断した三菱電機は、以来、新たな乾燥対策商品の検討に取り組んだ。

 その中で浮上してきたのが、部屋全体を加湿するのではなく、乾燥によるトラブルが起きやすい、寝ている人の顔周辺だけ加湿しようというアイデアだった。顔を加湿する商品は、美容機器として多数販売されているが、いずれも短時間に集中的に加湿するもの。寝ている間ずっと湿度を供給し続ける商品は前例がなく、機能や安全性の面で検討しなければならない課題は数多くあった。

 ◆スチームファン方式採用

 加湿方式は、衛生面が気になる超音波式や顔に冷たさを感じやすい気化式を避け、スチームファン方式を採用することにした。しかし、温度の高いスチームはすぐに上昇して、天井近くの湿度は上がっても、寝ている顔の周辺にはすぐには届かない。ノズルから勢いよくスチームを吹き出す方式も検討したが、吹き出し音やノズルにたまった水の飛び散りによって安眠が妨げられる。また、高温のスチームを直接顔に当てることの危険性も考慮しなければならなかった。

 スピーカーの音圧で蒸気を前に飛ばす方式など、自由な発想でさまざまなアイデアを検討した結果、三菱電機が開発したのが、常温の気流でスチームの上昇を抑えながら遠くに運ぶ機構だった。吹き出し口は上下2段に分かれており、約90度のスチームをあらかじめ室内の空気と混合して約45度の低温スチームにした後下部の吹き出し口から吹き出す。併せて、上部の吹き出し口から常温の空気を吹き出し、スチームの上昇を抑えながら遠くに運ぶ。

 ◆“吹かれ感”がない

 スチームを送り出す風量は、吹き出し口から約75センチ先の直径30センチのエリアで、“吹かれ感”を感じずにスチームの潤いをキープできるように調節されている。従来のスチームファン式加湿機では、湿度30%の部屋で寝ている人の顔周りの湿度を10%上げるのに45分かかったが、この方式なら5分で同じ効果が得られることが確かめられた。

 顔周辺で気流がほとんど感じられなくなり“吹かれ感”がないということは、この商品の重要な購入動機の一つと想定される肌の“保湿”のためにも重要なポイントだ。多少湿度が高くなっていても、肌に直接風が当たる状況では、肌表面の水分は少しずつ奪われてしまうからだ。「パーソナル保湿機」の保湿能力については、温度20度、湿度30%の部屋で1時間使用することで、肌水分は約1.5倍に上昇するという試験結果も得られている。

 ◆最大8時間可能に

 もっとも、枕の位置から75センチという近い位置で使うため、サイズをコンパクトにしつつ運転音を抑えるという困難な課題を解決しなければならなかった。サイズを小さくするためには水タンクも大きなものは積めない。「パーソナル保湿機」の水タンクは970ミリリットルだが、連続運転すると4時間で空になってしまう。このため、最初の30分間連続運転した後は、自動的に間欠運転に移行することで、最大8時間加湿を続けることを可能にした。

 さらに、異形サイズ基板の採用やファン・風路の静音化など細かな工夫を積み重ねた結果、ほとんどのナイトテーブルに置けるサイズ(高さ277×幅150×奥行き328ミリメートル)とささやき声より小さな27デシベルの運転音を実現した。また、湿度センサーで湿度を検知して、部屋の湿度が高くなったら、自動的に停止して過加湿を防いでいる。

 このように、極力少ない水で保湿効果が得られるような工夫をしたことが、結果的には、“結露を少なくする”という困難と思われていた課題の解決にもつながった。

                   ◇

 ■フジテレビ商品研究所

 「企業」「マスコミ」「消費者」をつなぐ専門家集団として1985年に誕生した「エフシージー総合研究所」(東京都江東区、従業員40人)内に設けられた研究機関。「美容科学」「食品料理」「環境科学」「生活科学」の各研究室で暮らしに密着したテーマについて研究を行っている。

ランキング